婚活!~絶対幸せになれる婚、探してます~
第二章 笑顔が苦手な塩対応男子
聖澤さんと鎌倉へ行って一週間後。今度は私が評価項目のタブレットを持ち、彼の営業に付き添った。

彼の担当範囲は都内。今日向かうのは本社からも程近い千代田区丸の内のど真ん中にある外資系シティホテルだ。

オフシーズンなど関係なく常に稼働率九〇%以上。ただでさえ文句なく集客できているのに、毎年売上を更新しているっていうのだから彼の辣腕がうかがえる。

「聖澤様、桃代様。お待ちしておりました。ご案内いたします」

ホテルのロビーで受付を済ませると、制服を纏ったスタッフが奥の応接スペースに案内してくれた。

ほどなくして広報部の代表者が姿を見せる。私たちはソファから立ち上がり一礼した。

軽い挨拶を済ませると、聖澤さんは雑談もないまま、いきなり打ち合わせの主題に突入する。

「ビジネスでの宿泊が減少傾向とありますが」

「ええ。リモートワークが普及して以降、出張等も減ってきているようで」

「デイユースのプランを取り入れてみるのはどうでしょう? 客室をワークスペースとして提供するホテルも近年は多く出てきています」

終始冷静な表情の聖澤さん。ごくたまに頷くときだけ微笑むが、それ以外は真剣に聴き取りを続けている。

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