婚活!~絶対幸せになれる婚、探してます~
第四章 居心地のいい彼


聖澤さんは常時ドライだけれど、たまにどうしようもなく不愉快な顔をするときがあって、そういうときは私がなにか失礼なことを言ってしまったんだと思う。

せめて糖分でも摂って元気を出してもらおうと、飲み物や飴玉を勧めてみたけれど。

……まさか機嫌を直すきっかけが、私のお腹の音だなんて。

その恥ずかしさったらなかったけれど、あんなに塩対応だった聖澤さんが笑顔を見せてくれたのはかなりの衝撃で嬉しくもあった。

お腹を鳴らしていた私がいくら憐れだったとはいえ、彼から食事に誘われる日が来るとは。

どこか信じられない気持ちとわくわくを胸に、今、私は聖澤さんと仕事終わりにビールを飲んでいる。



「ビールにはモツ煮だと思います」

私が力説すると、彼は「いや、牛すじだろ」と目を据わらせて反論した。

オーナーがお勧めしてくれた肉料理をすべて食べ尽くした私たちは、あともう一品おつまみを頼もうという話になり、ふたりでメニューを眺めている。

しかし、大皿料理のページに載っている牛すじとモツ煮で意見が割れ揉めていた。

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