そのままのきみがすき
6、再会
〝雪解けのチーズタルト〟のプロモーション設計には、外部から広告代理店の方も加わって下さっている。二回目のミーティングである今日は、具体的なプロモーション案を提示してもらう予定でプランナーの方が同席されるのだけど。
「今回は、弊社で今最も勢いのあるプランナーをアサインしてきました!」
いつも元気いっぱいな代理店の営業、谷川さんが自信満々に紹介してきた男を見て、私は固まってしまった。なぜなら数々の広告賞を受賞してきたプランナーだという金原さんは、私の唯一の元カレ、だったのだ。
清潔感のある整った容姿に洗練された佇まいの彼は、このチームに私と一緒にアサインされた梨菜ちゃんの、第二の推しメンとなってしまった。
「── 久しぶり、だな」
この後真山さんとの打ち合わせも入っているのに、ミーティング後に任されてしまった代理店の方のお見送り。一階でエレベーターを降りたところで、谷川さんが電話で席を外した隙に話しかけられてしまった。二人にならなければ難を逃れられると思っていたのに。
「……お久しぶりです」
こういう時、一体どういう顔をするのが正解なのか。私の中では円満な別れではなかったと思っているから、余計に気まずい。他人のフリをしてくれてよかったのに、と思う。
「谷川からこのプロモーションの話を持ちかけられた時、多分澄乃……、椿さんに会うんじゃないかと思っていた」
「……転職、されたんですか?確か、金原さんが以前いらっしゃったのはTYMでしたよね?」
だから今回の仕事で彼に会うなんて、思ってもみなかったのだ。
「昨年ヘッドハンティングされたんだ。色々考えた末、移った」
「そうだったんですね」
「まぁ、これからまた何かと関わることになると思うけど、よろしく」
何のためらいもなく差し出されたその手を取るかどうか一瞬迷った時。
「今回は、弊社で今最も勢いのあるプランナーをアサインしてきました!」
いつも元気いっぱいな代理店の営業、谷川さんが自信満々に紹介してきた男を見て、私は固まってしまった。なぜなら数々の広告賞を受賞してきたプランナーだという金原さんは、私の唯一の元カレ、だったのだ。
清潔感のある整った容姿に洗練された佇まいの彼は、このチームに私と一緒にアサインされた梨菜ちゃんの、第二の推しメンとなってしまった。
「── 久しぶり、だな」
この後真山さんとの打ち合わせも入っているのに、ミーティング後に任されてしまった代理店の方のお見送り。一階でエレベーターを降りたところで、谷川さんが電話で席を外した隙に話しかけられてしまった。二人にならなければ難を逃れられると思っていたのに。
「……お久しぶりです」
こういう時、一体どういう顔をするのが正解なのか。私の中では円満な別れではなかったと思っているから、余計に気まずい。他人のフリをしてくれてよかったのに、と思う。
「谷川からこのプロモーションの話を持ちかけられた時、多分澄乃……、椿さんに会うんじゃないかと思っていた」
「……転職、されたんですか?確か、金原さんが以前いらっしゃったのはTYMでしたよね?」
だから今回の仕事で彼に会うなんて、思ってもみなかったのだ。
「昨年ヘッドハンティングされたんだ。色々考えた末、移った」
「そうだったんですね」
「まぁ、これからまた何かと関わることになると思うけど、よろしく」
何のためらいもなく差し出されたその手を取るかどうか一瞬迷った時。