魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
12.レーフェルの街へ -first friends-
ボースウィン領で暮らし始めて、瞬く間に数週間の時が経った。
小窓の外に覗く景色は、心なしか瘴気の色が薄れたような気がしないでもない。
(全部、このままうまくいくといいんだけど……)
がらがらと音を立て移動する馬車の中、時折差し込む晴れ間が眩しく目を細めた私に、隣に座るテレサが身体を寄せた。
「お出かけなんていつぶりかしら。お仕事だといっても、気分が弾みますわ。こんな風に外に出られるのも、お姉様のおかげですね」
「ん? そ、そうなのかなぁ……」
私はまたなんでも私の手柄にしてくれようとする、羞花閉月な仮の妹に曖昧に頷き返すと、顔の向きを車内に戻す。
あの村での一件があってから、私は瘴気の除去が可能だということで、度々ボースウィン城の人達に同行して、領内の街々へと赴くようになっていた。
それも近隣の森や洞窟で使ってみて、私の能力がちゃんと瘴気に効き目があること、頻繁に使用しても問題ないことが証明されたからだ。
日によって効果はまちまちだけど、私が深く祈ると、どうやら周囲に漂う穢れた魔力が身体へと吸い込まれていくらしい。その現象は、瘴気被害に悩むこの領地にはうってつけで、この領地の地理の把握も兼ねて、時間の許す限り足を伸ばし瘴気汚染を解除して回ることになった。
小窓の外に覗く景色は、心なしか瘴気の色が薄れたような気がしないでもない。
(全部、このままうまくいくといいんだけど……)
がらがらと音を立て移動する馬車の中、時折差し込む晴れ間が眩しく目を細めた私に、隣に座るテレサが身体を寄せた。
「お出かけなんていつぶりかしら。お仕事だといっても、気分が弾みますわ。こんな風に外に出られるのも、お姉様のおかげですね」
「ん? そ、そうなのかなぁ……」
私はまたなんでも私の手柄にしてくれようとする、羞花閉月な仮の妹に曖昧に頷き返すと、顔の向きを車内に戻す。
あの村での一件があってから、私は瘴気の除去が可能だということで、度々ボースウィン城の人達に同行して、領内の街々へと赴くようになっていた。
それも近隣の森や洞窟で使ってみて、私の能力がちゃんと瘴気に効き目があること、頻繁に使用しても問題ないことが証明されたからだ。
日によって効果はまちまちだけど、私が深く祈ると、どうやら周囲に漂う穢れた魔力が身体へと吸い込まれていくらしい。その現象は、瘴気被害に悩むこの領地にはうってつけで、この領地の地理の把握も兼ねて、時間の許す限り足を伸ばし瘴気汚染を解除して回ることになった。