魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~

17.決意 -protect everything-

「……なにを、言ってんだ」

 理解を拒む、スレイバート様の気持ちが分かったから……私はもう一度しっかりと、彼の瞳を見つめ、自分の意志を伝えた。

「番いましょう、あなたと私で。そして、あなたの意志を……私の中に残してください」
「――舐めてんのか……」

 押し殺したような低い響きが、彼の唇から漏れる。
 そして、軽蔑するような冷たい目の光とともに、彼はこちらに吐き捨てた。

「憐みかよ。死に際の俺に情けでもかけようってか……だとしたら、いくらお前でも――」
「――違います!」
「じゃあなんだ……言ってみろ」

 公爵家の係累だということを示す、恐ろしい威圧感のある怒りの気配が、彼の身体から伝わってくる。

 自身への侮辱だと彼に取られたのは仕方がない。でも……私は、決してそうではないと伝えるために、しっかりと背筋をただし、彼と視線をぶつけ合った。
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