魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
2.ルシド・ネプティル
色々な人の助けもあり、ひとつのお店を任されることになった私なのだが、さすがに瘴気を吸って魔石に込めるだけをやっているわけにもいかない。
と、いうか……瘴気だって同じところに毎日湧き出すわけでもないし、必然的にボースウィン城に寄せられた情報をもらって、自分からあちこち出向くことが必要になる。
そのため、仕事の大半を移動時間に費やさなければならないけれど、幸いなことにすべきことはたくさんあった。その間、本を見たりボースウィン領に詳しいルシドから話を聞いたりして、私はこの土地のことをなるべく頭に叩き込むことにしたのである。
現状はレーフェル内での商売で十分だけれど、もしかしたら今後他の集落の人たちともお付き合いができ、そちらに出向くこともあるかもしれない。そうした時に備えて、少しずつでも恥ずかしいことにならないよう、基本的な常識は叩き込んでおくべき。
今回もそうした勉強の延長で、車内にてルシドと世間話を楽しんでいた。
「最近どうかしら、ボースウィン領の調子は」
「どこもかしこもいい感じですよ。スレイバート様の呪いが解けたことで、城はおろか、領内全域で瘴気の濃度が下がりつつあるみたいです。城の学者たちも数十年ぶりの望ましい変化だと賞賛していました。元々魔物だって多い土地ですし、被害の方が完全に消えるってことはないみたいですけどね」
「そう……」
と、いうか……瘴気だって同じところに毎日湧き出すわけでもないし、必然的にボースウィン城に寄せられた情報をもらって、自分からあちこち出向くことが必要になる。
そのため、仕事の大半を移動時間に費やさなければならないけれど、幸いなことにすべきことはたくさんあった。その間、本を見たりボースウィン領に詳しいルシドから話を聞いたりして、私はこの土地のことをなるべく頭に叩き込むことにしたのである。
現状はレーフェル内での商売で十分だけれど、もしかしたら今後他の集落の人たちともお付き合いができ、そちらに出向くこともあるかもしれない。そうした時に備えて、少しずつでも恥ずかしいことにならないよう、基本的な常識は叩き込んでおくべき。
今回もそうした勉強の延長で、車内にてルシドと世間話を楽しんでいた。
「最近どうかしら、ボースウィン領の調子は」
「どこもかしこもいい感じですよ。スレイバート様の呪いが解けたことで、城はおろか、領内全域で瘴気の濃度が下がりつつあるみたいです。城の学者たちも数十年ぶりの望ましい変化だと賞賛していました。元々魔物だって多い土地ですし、被害の方が完全に消えるってことはないみたいですけどね」
「そう……」