魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
7.クラウス・ノイスラ―
広大、巨大、壮大……。とにかくお城というのはそんな言葉に尽きる。
中でも北部国境線での戦いを長きに渡る帝国史においてずっと見届けてきた――そんな風格に満ちたボースウィン城の広さは、歩きながら考え事をするのにはもってこい。
ほぼ正方形の外郭をぐるりと一周するだけでも半日はかかろうかというこの城を、本日の私はやや罰当たりなことに散歩用の巡回コースとして利用させていただいていた。
心のもやもやを収めたくて必死に体を動かしているのだけど、そうしていても昨日のスレイバート様の表情が頭にちらついて、どうにもうまくいかない。
今朝だって悪化した関係を修復しようと朝食を誘い、その席で機嫌を取ってルシドとの仲直りを持ちかけようと思っていたのに。いざ執務室に彼を呼びに行ったら、「食事は先に取った」と、先手を打たれている始末。ひとり寂しく部屋に運んでくれた食事を取った後は、外出も許されていないのでこうして城内をうろつくことくらいしかできない。
自分の無能さに肩を落としながら、城壁の下で訓練している魔法士たちの風景を眺めてみる。
すると皆、各々の魔法力を高めようと必死に的当てや瞑想など取り組んでおり、その姿は生き生きとして見える。私も欠片でも自由に使える魔力があればあの中に混じれただろうか……。
中でも北部国境線での戦いを長きに渡る帝国史においてずっと見届けてきた――そんな風格に満ちたボースウィン城の広さは、歩きながら考え事をするのにはもってこい。
ほぼ正方形の外郭をぐるりと一周するだけでも半日はかかろうかというこの城を、本日の私はやや罰当たりなことに散歩用の巡回コースとして利用させていただいていた。
心のもやもやを収めたくて必死に体を動かしているのだけど、そうしていても昨日のスレイバート様の表情が頭にちらついて、どうにもうまくいかない。
今朝だって悪化した関係を修復しようと朝食を誘い、その席で機嫌を取ってルシドとの仲直りを持ちかけようと思っていたのに。いざ執務室に彼を呼びに行ったら、「食事は先に取った」と、先手を打たれている始末。ひとり寂しく部屋に運んでくれた食事を取った後は、外出も許されていないのでこうして城内をうろつくことくらいしかできない。
自分の無能さに肩を落としながら、城壁の下で訓練している魔法士たちの風景を眺めてみる。
すると皆、各々の魔法力を高めようと必死に的当てや瞑想など取り組んでおり、その姿は生き生きとして見える。私も欠片でも自由に使える魔力があればあの中に混じれただろうか……。