魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~

9.模擬試合 -conflict-

 それから三日間ほどはボースウィン城の中で、主にクラウスさんの仕事の手伝いをして過ごした。この間のピクニックの手回しのお礼に少しでも働きたいと申し出たのだ。

「すみませんね。仮にも領主様の婚約者たる方に、こんなことをお任せして」
「いいえ……! 私もなにかしていないと気が紛れなくて」

 ちょっとした読み書きや計算くらいなら習っているし、ならばと城内にある備品の数を調べたり、領内の村落から逐一送られてくる魔物の出現情報などをわかりやすくまとめてみたりと、自分にできる簡単な作業を続ける日々。

 そうそう、これはピクニックの前だけれど、せっかくサンクリィの村で吸収してきた魔力の使い道があればと思って、城内の魔法士たちの元に出向いて廃棄予定の魔石に魔力補充を行ったりもしたんだっけ。その時は大きく感謝され、誰かの役に立つ嬉しさを再認識した。

 それとあれ以後スレイバート様の態度も和らぎ、レーフェルの街に戻る許可もいただくことができた。これからも、ボースウィン領の復興に向けて、私もすべきことを頑張ろうと息巻いていたその翌日。
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