魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
11.ボースウィン公爵として -worries-
(なんであんなことをしちまったんだかな……)
先日、ルシドとの訓練試合の後、取った行動を思い出して――。
我ながら嫌気が差した俺は、ペンを叩きつけるようにして執務室の席を立った。
「スレイバート様、どうかなさいましたか?」
「なんでもねー。休憩だ」
他席で忙しく手を動かしていたクラウスが顔を上げたが、俺は素っ気なく返すと、大きく光が差し込むように作られた格子窓の方へ寄っていく。
今はここから、ボースウィン領の景色が一望できる。膨大な瘴気の発生源となっていたであろう俺の呪いが解かれたことで、視界は遠くまでが見渡せるように戻り、この地は驚くほどの速度で復興を遂げている。
改めて、人の力の凄まじさというのを実感すると同時に、そのきっかけとなったシルウィーの功績を思い知るばかりだ。
――なのに俺は……あいつを大きく傷つけてしまった。
先日、ルシドとの訓練試合の後、取った行動を思い出して――。
我ながら嫌気が差した俺は、ペンを叩きつけるようにして執務室の席を立った。
「スレイバート様、どうかなさいましたか?」
「なんでもねー。休憩だ」
他席で忙しく手を動かしていたクラウスが顔を上げたが、俺は素っ気なく返すと、大きく光が差し込むように作られた格子窓の方へ寄っていく。
今はここから、ボースウィン領の景色が一望できる。膨大な瘴気の発生源となっていたであろう俺の呪いが解かれたことで、視界は遠くまでが見渡せるように戻り、この地は驚くほどの速度で復興を遂げている。
改めて、人の力の凄まじさというのを実感すると同時に、そのきっかけとなったシルウィーの功績を思い知るばかりだ。
――なのに俺は……あいつを大きく傷つけてしまった。