魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
5.暗殺者と領主補佐 -wise wolf-
「――全隊、戦闘準備! 周囲に被害が及ばないよう、魔法士は防御結界を――」
あの時の暗殺者だと呼びかけようとした時はもうすでに、クラウスさんは周囲に号令を放っていた。
それとほとんど同時。目の前の青年の手が付き出され、燃え盛る火炎が、ごうっと迸る。
「きゃぁっ! なんなの!?」
それは私たちの一歩前で、半透明の魔法結界に阻まれ、しゃがんだテレサの横を舐めるように通過していく。
素早い指示のおかげで、幸い周囲を歩いていた人に被害は及ばなかったようだ。だが、炎は建物に燃え移り、悲鳴を上げた人々が周囲から逃げ散っていく。
そんな中赤髪の青年は怒気をはらんだ声を張り上げた。
「雑魚は邪魔立てするな! オレの狙いはその黒髪の聖女だけだ、立ちはだかるなら殺すっ!」
「あ、あの人、間違いない! 以前クリム様の屋敷で私を襲った人です!」
あの時の暗殺者だと呼びかけようとした時はもうすでに、クラウスさんは周囲に号令を放っていた。
それとほとんど同時。目の前の青年の手が付き出され、燃え盛る火炎が、ごうっと迸る。
「きゃぁっ! なんなの!?」
それは私たちの一歩前で、半透明の魔法結界に阻まれ、しゃがんだテレサの横を舐めるように通過していく。
素早い指示のおかげで、幸い周囲を歩いていた人に被害は及ばなかったようだ。だが、炎は建物に燃え移り、悲鳴を上げた人々が周囲から逃げ散っていく。
そんな中赤髪の青年は怒気をはらんだ声を張り上げた。
「雑魚は邪魔立てするな! オレの狙いはその黒髪の聖女だけだ、立ちはだかるなら殺すっ!」
「あ、あの人、間違いない! 以前クリム様の屋敷で私を襲った人です!」