魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
11.さらなる悲報 -pursuit-
領境の境界線を越え、数時間ほどしただろうか。
ちらほらと魔物との遭遇で足止めを食いつつも……思ったよりも外側では被害が広がっていないことに安堵しつつ、私たちは最初の目的地としていた街までたどり着いた。
リュドベルク領東端の街、セイムルーク。
そこではわずかに希望の兆しが見えた。統率の取れた軍隊が街の外側に布陣して、その中でひとりの若い男性が兵士たちを鼓舞していたのだ。
『――城はああなってしまったが、領地の全域で民たちが魔物襲撃に怯えている! ここを新たな指揮拠点とし、各地の情報を集めて態勢を立て直し、領民たちの救出に向かうぞ! それが亡くなった父、リュドベルク公ルーファウスが我らに託した意志だ!』
『ウォォォッ!』
「あの声は……」
がしゃりと、身体中に鎖を巻いた状態のラルフさんが立ち上がり、スレイバート様に食って掛かった。
「おい、今すぐオレを外に出せ!」
ちらほらと魔物との遭遇で足止めを食いつつも……思ったよりも外側では被害が広がっていないことに安堵しつつ、私たちは最初の目的地としていた街までたどり着いた。
リュドベルク領東端の街、セイムルーク。
そこではわずかに希望の兆しが見えた。統率の取れた軍隊が街の外側に布陣して、その中でひとりの若い男性が兵士たちを鼓舞していたのだ。
『――城はああなってしまったが、領地の全域で民たちが魔物襲撃に怯えている! ここを新たな指揮拠点とし、各地の情報を集めて態勢を立て直し、領民たちの救出に向かうぞ! それが亡くなった父、リュドベルク公ルーファウスが我らに託した意志だ!』
『ウォォォッ!』
「あの声は……」
がしゃりと、身体中に鎖を巻いた状態のラルフさんが立ち上がり、スレイバート様に食って掛かった。
「おい、今すぐオレを外に出せ!」