魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
20.棘と火と -ties-
「っぅ―――――!」
私は両手で耳を塞ぎ、カヤさんを庇うようにくっついて、爆音と飛散する礫から巨木を守った。幸運なことに、爆発の威力は突撃の方向に大半が収束していたせいか、いくつかの小石で背中を打った程度で済む。
(どうなった……の?)
埃や瓦礫などが収まるのも待ちきれず、私は痛む目を瞬かせて懸命に闇の奥を見通した。すると――そこにはラルフさんの背中と、いくつかの部屋をぶち抜いた巨大な焦げ跡が、黒々と穴を開けている。彼は、力を使い果たしたようにその場にがくりと膝をつく。
「ラルフさんっ……!」
私がその場所に駆け寄っていくと、彼は荒い息を吐きながら、こちらに謝罪してきた。
「悪い……俺、本気であんたを殺すかどうか迷っちまった。絶対に、妹がそうまでして生きたいなんて願うはずはねえのに……っ。どうしても……もう一度元気なあいつの顔が、見たかったんだ……う、ぐっ」
「……わかってます」
私は両手で耳を塞ぎ、カヤさんを庇うようにくっついて、爆音と飛散する礫から巨木を守った。幸運なことに、爆発の威力は突撃の方向に大半が収束していたせいか、いくつかの小石で背中を打った程度で済む。
(どうなった……の?)
埃や瓦礫などが収まるのも待ちきれず、私は痛む目を瞬かせて懸命に闇の奥を見通した。すると――そこにはラルフさんの背中と、いくつかの部屋をぶち抜いた巨大な焦げ跡が、黒々と穴を開けている。彼は、力を使い果たしたようにその場にがくりと膝をつく。
「ラルフさんっ……!」
私がその場所に駆け寄っていくと、彼は荒い息を吐きながら、こちらに謝罪してきた。
「悪い……俺、本気であんたを殺すかどうか迷っちまった。絶対に、妹がそうまでして生きたいなんて願うはずはねえのに……っ。どうしても……もう一度元気なあいつの顔が、見たかったんだ……う、ぐっ」
「……わかってます」