拝啓、元婚約者様 捨てた私のことはお構いなく
第八章 歓迎しない手紙
【ヴィラ歴423年6月】
最近何をやっても上手くいかない。
ダイナー公爵家のバナージ・ダイナーはイライラを募らせていた。
「おいっ! まだ新たな金鉱脈は見つからないのか!? この前の試掘も上手くいかなかったから、大損だ!」
「そうは言われましても、鉱山開発は鉱脈を発見するまでが一番難しいので──」
「黙れ! 自分の無能を棚に上げるんじゃない! お前はクビだ!」
カッとなって思わず鉱山管理人を怒鳴りつける。
びくっとした管理人は、バナージに頭を下げるとそそくさと逃げるように去っていった。
(くそっ! どいつもこいつも使えない!)