一途な陸上自衛官は、運命が引き寄せた恋を守り抜く〜秘密の双子ごと愛されています〜
7、別離は突然に


 クリスマスを終えると年の瀬は目前となる。今年は十二月二十七日から早めのお正月休みをもらった。

 ビルメンテナンスという仕事柄、会社全体での休暇はない。三百六十五日対応ができるよう、設備管理事業部に所属している従業員は全員がシフト制だ。

 今年はお正月休暇前半からの休みをもらい、新年三日から仕事はじめとなっている。


「希穂ちゃん、強くない? 俺もう二回連続で負けてるじゃん!」

 お正月休みに入り、十二月二十八日から実家に帰省している。

 大晦日の今日、姉家族も実家に集まっていて賑やかな年末を迎えている。今は、冬休みを満喫中の甥の陽太とテレビゲームで対戦中だ。

 キャラクターがゴーカートのレースで順位を競うゲームの相手をしていて、私が見事に二連覇している。


「陽太、普段やってるんだから、ゲームやらない私に負けないでよ」

「希穂ちゃん、こういうのなんて言うか知ってる? ビギナーズラックって言うんだよ」

「へぇ~、難しい言葉知ってるじゃない」


 実家でわいわいゲームをしているのが年末感がある。

 ボランティア活動で帰省していたときから、約十か月。

 実家含め、故郷は着実に復興し、元通りに近い生活を送れるようになってきている。

 もちろん、自宅が半壊、倒壊した人々は未だ仮設住宅に住んでいる。

 町が元通りになるまでにはまだ数年がかかるに違いないが、会う人たちに笑顔と希望が見られたのが今回帰省して一番良かったと思えたことだ。

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