一途な陸上自衛官は、運命が引き寄せた恋を守り抜く〜秘密の双子ごと愛されています〜
Side Yuushin
日差しを遮る木々に囲まれた水遊び場は、自然の小川のようになっている。
子どもたちの足首ほどの深さのせせらぎで、陸と海は緩やかに流れる水に座り込み水遊びを楽しむ。
「つめたい!」と楽しそうにはしゃいでいる様子を、少し前に希穂がスマートフォンのカメラで記念に撮影していた。
今はそのすぐそばの岩に腰かけ、希穂とふたり子どもたちを見守る。
夏に故郷を訪れるときは、震災の追悼でこの公園の慰霊碑を訪れる。
ここ二年ほどは夏に帰省ができず、今日は久しぶりの訪問だった。
その先で、信じられない光景を目の当たりにした。
見間違いかと疑う、希穂と幼いふたりの子どもの姿。
でも、希穂を見間違うはずもない。ずっと、彼女を忘れることなどできなかった。
最後に連絡をもらった約二か月後、陸と海の妊娠が発覚し、家族の好意で実家に戻ったと希穂は話してくれた。
妊娠がわかり、堕胎という選択肢が一切なかったこと。
ひとりで産み育てていく覚悟を決めた彼女を、お母さんとお姉さんが帰っておいでと言ってくれたという。
心強かったしありがたかったと、当時の心境を語ってくれた。
予期せぬ妊娠にも驚いたけれど、それが双子だったことには更に驚愕したこと。
妊娠出産から今まで、ひと言では語り切れないこれまでの話をぽつりぽつりと希穂はしてくれた。