一途な陸上自衛官は、運命が引き寄せた恋を守り抜く〜秘密の双子ごと愛されています〜
11、家族を始めよう
晴れた心地のいい陽気が続く十月初旬。
物がなくなった部屋の入り口に立って中を眺め、今になって急に寂しさが押し寄せてくる。
子どもたちが遊んでいたおもちゃや、いつも端に畳んで置いていた三人分の布団。掃除をしながら片付け、部屋はすっきり生活感がなくなった。
妊娠がわかり、帰ってきた実家。
ここでお腹が大きくなっていく間も、子どもたちが生まれてからの新生児期も、こうして三歳になるまで過ごしてきた。
大変だったことも嬉しかったことも、振り返れば母や姉たちとみんなで過ごせた時間はすべてが尊い。
ここを離れることになるなんて考えもしなかった。
「忘れ物はない?」
ゆったりと階段を上がってくる足音がしてきたと思ったら、母が様子をみにやってきた。
「うん」
私の横に並び、一緒に部屋の中を覗く。