一途な陸上自衛官は、運命が引き寄せた恋を守り抜く〜秘密の双子ごと愛されています〜
エピローグ
季節はめぐり、草木が芽吹く温かな春がやってくる四月。
一週間ほど前に五分咲きといっていたソメイヨシノは満開を迎え、今は花びらが雪のように舞い始めている。
「ママ、だいじょうぶ? ちゃんとて、つないでてね」
右側の手を繋いでいる海が確認するように私を見上げる。
「……よしっ、ママをねらうやつはいない!」
左手で手を繋ぐ陸は、きょろきょろして周囲を確認。
ふたりして一生懸命に私を守ってくれている姿が微笑ましい。
五か月前、勇信さんとした約束を果たそうと小さなふたりなりにママを守ってくれているのだ。
勇信さんが海外派遣に出てから、クリスマスがきて、新年を迎えた。
日々はなんら変わりなく、ふたりは幼稚園に通い、私はパートタイマーで元の会社の営業所で働く日々を送った。
勇信さんが行ってしまってから、何度も子どもたちには『パパはいつかえってくるの?』と訊かれた。
そのたびに明確な答えも出せず、私自身も彼の決まっていない帰りを待つ日々を過ごした。