一途な陸上自衛官は、運命が引き寄せた恋を守り抜く〜秘密の双子ごと愛されています〜
4、互いに背負う過去の傷
薄いグリーンの、少し背の高い足つきグラス。
そこに氷をたっぷり入れ、濃い目に作ったココアを注いでいく。冷蔵庫からホイップクリームの缶を取り出し、ココアの上に絞り出したら背徳アイスココアの出来上がり。
夕食後、部屋の明かりを間接照明に落とし、好きな飲み物やデザートを食べながら過ごす自由時間。
映画鑑賞をするか、読書をするか、その日の気分で内容を決めるけれど、今日はぼんやりと映画でも観ようとプロジェクターの電源を入れる。
確か観ようと思っていた映画の配信が始まっていた気がして、メニューを開いて眺めていたときだった。
ココアの横に置いてあるスマートフォンがカタカタとローテーブルを振動させる。
電話……?
画面には登録していない携帯番号が表示されていて、応答するのを躊躇った。
でも、時刻は二十一時前。こんな時間にセールスの電話はかかってきたことがない。
鳴り続ける着信に、ふと今日の昼間の出来事が思い出され、まさかという思いでスマートフォンを手に取った。
「……はい、もしもし」
《 こんばんは》
聞こえてきた声に、思わず目を見開く。
《砂羽です。わかります?》
「あ、はい、わかります。こんばんは」