一途な陸上自衛官は、運命が引き寄せた恋を守り抜く〜秘密の双子ごと愛されています〜
Side Yuushin
スマートフォンに表示される目的地到着まであと五分を切り、助手席にかける彼女に目を向ける。
窓の外を眺めていると思っていたらいつの間にか瞼を落として眠っていて、その無防備な姿にひとりくすっと笑ってしまった。
朝から晩まで付き合ってくれて、たくさん気も使ってくれていた。疲れさせてしまったと申し訳なく思いながら、眠る彼女の顔を信号で停車するたびに眺めた。
急な誘いで都合がつかないと返事がくるかもしれないと思いながら久しぶりの連絡をし、大丈夫だと返信をもらったときは嬉しかった。
彼女にまた会える。
どんな形であろうと構わなかったし、その機会ができたことに感謝した。
会える日を待ち遠しく思う自分は、少なからず彼女に惹かれている。
そう自覚して迎えた今日、様々なシーンで時間を共有し、彼女の仕草や表情に更に夢中になっていく特別な感情が芽生えていると実感した。
被災地で出会い、月日が流れた東京で再会したときから彼女に惹かれる運命は始まっていたのかもしれない。
スマートフォンから『目的地に到着しました』とアナウンスが入ったのは、三階建てのアパートの前。
車が停車しても目覚める気配がなく、そっと腕を揺すって起こす。