推し活スポンサー公爵との期限付き婚約生活〜溺愛されてるようですが、すれ違っていて気付きません〜
一章 「この婚約は間違いだった」
「この婚約は間違いだった」
開口一番そう言われたミシュリーヌは目を見開いた。
まさかのまさか。レダー公爵家との縁談がトントン拍子でまとまったのだが、やはりみんなの予想通り。
こうなってしまったようだ。
(やっぱりクロエと間違えていたのね……そうだと思ったわ。わたしがレダー公爵に選ばれるなんておかしいと思ったもの)
ミシュリーヌは落ち込むことはなかった。むしろ納得するように頷く。
すべてを持ち合わせているであろう彼が平凡であるミシュリーヌを選ぶことがおかしいと思っていたからだ。
ミシュリーヌはシューマノン子爵家らしいピンク色の髪にブラウンの瞳。どこにでもいる平凡な顔だ。
十七歳のミシュリーヌは気づいた時には、今のところ婚約者もおらず好きなことに全力投球する普通の令嬢である。
ベガリー王国では貴族ならば魔法を使うことができるのだが、爵位が上がるほどに強力な魔法が使えるといわれていた。
また爵位が低くとも魔法属性次第では成り上がることができるとあって、結婚相手はかなり重要。
各家、慎重に相手を選ぶ。
またよりよい家に嫁ごうと令嬢たちの気合いやアピールも凄まじい。
< 1 / 101 >