推し活スポンサー公爵との期限付き婚約生活〜溺愛されてるようですが、すれ違っていて気付きません〜
三章 すれ違い
『レダー公爵が夜もよく眠れますように!』
そう言ってラベンダーを渡すと、オレリアンは嬉しそうに見えた。
(レダー公爵は意外とお花が好きなのかしら……)
けれど初めて笑みを浮かべたオレリアンを見て思うことはただ一つだ。
(なんて神々しいのかしら。もしレダー公爵を推していたら、間違いなく侍女たちのように倒れてしまっていたわね)
白馬に乗って颯爽と去っていくオレリアンからはラベンダーの香りがした。
それにしても、健康のこととなると熱くなってしまい周りが見えなくなるのは昔からだ。
故にオレリアンにもかなり偉そうな言葉を吐いてしまったため、今になって後悔していた。
(お父様とお兄様に怒られそうだわ。大丈夫……じゃないわよね)
ミシュリーヌが今後に起こるであろうことを想像しながら、屋敷に戻ることに躊躇していると……。
「ミシュリーヌお姉様……」
「……クロエ!」
先ほど、オレリアンがミシュリーヌを誘った際にクロエも一緒について行きたいと言った。