婚約破棄されたので辺境で新生活を満喫します。なぜか、元婚約者(王太子殿下)が追いかけてきたのですが?
3.
それでもギデオンの眉間のしわは消えない。まだ何かをじっくりと考えているようだ。
エステルとしては、ここで『でんわ』を採用してほしいと思っていた。馬で一時間という適度な距離。『でんわ』の通話がどのくらいの距離まで可能か、それを試したいのだ。
今の設計では、城塞から外城内であれば通話可能である。というのも、そこまではアビーと実験済だった。だが、どうせならこの領地内すべてでの通話を可能としたい。
「エステル……例えばだが……各集落の代表全員と顔を合わせずに同時に話すことはできるのか?」
「え、と……それはどういう意味でしょう?」
「例えば、だ。今年の税率を発表するのに、全員が同時に同じ話を聞いたほうが、安心できるだろう? もしかしたら、他の集落はここより安いのかと思う者もいるかもしれないが、俺の言葉が何人にも同時に伝えられるのであれば、皆、安心するのかと思っただけだ。それに、不作の集落を優遇するという場合も、他からの同意も得やすいだろう?」
もしかしてギデオンは、テレビ会議システムのようなものを想像しているのだろうか。それは全員が同じ魔力回線を用いればいいので、できないことはない。今はその回線の切り替えができず、固定の相手としか通話ができない状態なのだ。つまり、通話をしたい相手の分だけ、『でんわ』が必要となる。
エステルとしては、ここで『でんわ』を採用してほしいと思っていた。馬で一時間という適度な距離。『でんわ』の通話がどのくらいの距離まで可能か、それを試したいのだ。
今の設計では、城塞から外城内であれば通話可能である。というのも、そこまではアビーと実験済だった。だが、どうせならこの領地内すべてでの通話を可能としたい。
「エステル……例えばだが……各集落の代表全員と顔を合わせずに同時に話すことはできるのか?」
「え、と……それはどういう意味でしょう?」
「例えば、だ。今年の税率を発表するのに、全員が同時に同じ話を聞いたほうが、安心できるだろう? もしかしたら、他の集落はここより安いのかと思う者もいるかもしれないが、俺の言葉が何人にも同時に伝えられるのであれば、皆、安心するのかと思っただけだ。それに、不作の集落を優遇するという場合も、他からの同意も得やすいだろう?」
もしかしてギデオンは、テレビ会議システムのようなものを想像しているのだろうか。それは全員が同じ魔力回線を用いればいいので、できないことはない。今はその回線の切り替えができず、固定の相手としか通話ができない状態なのだ。つまり、通話をしたい相手の分だけ、『でんわ』が必要となる。