初恋のやり直し ~過去に私をふった彼からの猛アタック~
03 可愛い妹 蒼士side
綾音が去ったあと、フロアには俺ひとりになった。
無意識のうちに張り詰めていた空気を体から抜くように、深い息を吐く。
先ほど綾音の髪に触れた手を見て、また溜め息をつきそうになった。
「俺も大概だな……」
さっきから一文字も進まないメールのテキストを眺めて、フッと自嘲気味に笑う。
藤木綾音は俺の友人の妹だ。
地元の中学から仲良くなった藤木絢斗の家に行ったとき、初めて会った。
最初のうちは俺たちに気遣ってなのか、遊びに行くたびに部屋にこもっていたけれど、絢斗の家のリビングでゲームをするようになってからは、綾音も混ざるようになった。
当時、綾音は小学校五年生で、他の子と比べても背が低かった彼女のことを、とても可愛いと思っていた。
そもそも俺には、兄弟がいない。
だからことさら妹がいる絢斗がうらやましかったし、自分の妹のように綾音を可愛がっていた。
だけど、それも最初のうちだ。
子どもは成長する。特に、思春期における成長は如実に表に現れる。
徐々に女性らしくなっていく綾音のことを、いつしか俺は妹として見れなくなっていた。
無意識のうちに張り詰めていた空気を体から抜くように、深い息を吐く。
先ほど綾音の髪に触れた手を見て、また溜め息をつきそうになった。
「俺も大概だな……」
さっきから一文字も進まないメールのテキストを眺めて、フッと自嘲気味に笑う。
藤木綾音は俺の友人の妹だ。
地元の中学から仲良くなった藤木絢斗の家に行ったとき、初めて会った。
最初のうちは俺たちに気遣ってなのか、遊びに行くたびに部屋にこもっていたけれど、絢斗の家のリビングでゲームをするようになってからは、綾音も混ざるようになった。
当時、綾音は小学校五年生で、他の子と比べても背が低かった彼女のことを、とても可愛いと思っていた。
そもそも俺には、兄弟がいない。
だからことさら妹がいる絢斗がうらやましかったし、自分の妹のように綾音を可愛がっていた。
だけど、それも最初のうちだ。
子どもは成長する。特に、思春期における成長は如実に表に現れる。
徐々に女性らしくなっていく綾音のことを、いつしか俺は妹として見れなくなっていた。