初恋のやり直し ~過去に私をふった彼からの猛アタック~
04 終わったはずの初恋が動き出す
 次の日、朝早く出社すると、既に蒼士くんがパソコンを開いて作業をしていた。
 昨日、私よりも遅く帰ったはずなのに、もう出社しているなんて……と思いつつ、私も席に座る。
 おはようございますと挨拶すれば、蒼士くんからもおはようと挨拶が返ってきた。
 昨日よりもぎこちない空気にならなくて、それだけで嬉しい気持ちになる。

「出社するの早くない? 私よりも遅く帰ったのに」
「あのあとすぐに帰ったから大丈夫だよ。それに、俺の可愛い後輩の初仕事、成功させたいからな」

 蒼士くんがにやりと私の方を見て笑う。
 どこまでいっても私は可愛い妹、可愛い後輩のままか、とは思うものの、嫌な気はしなかった。

「それでさっそくブレストしたいんだが、その前に作業途中の企画書をデータで送ってほしい」
「わかりました」
「あと、俺が確認している間、リサーチャーとデザイナーにも連絡しておいてくれ」
「はい」

 仕事モードになったのか、急に空気が引き締まって、蒼士くんの顔つきが変わる。

 私は昨夜、彼に言われた段取りを思い出しながら、関係各所にメールを送った。
 そうこうしているうちに、どんどん出社してくる人が増えてくる。
 気付いたら朝礼の時間になっていて、軽く全体ミーティングをしたあと、自席だとうるさくなるからという理由で、昨夜利用していたワークスペースに移動した。

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