初夜に暗殺された王女は魔獣の国で再起する~魔獣の国の王の求愛がとまりません
2.いざキルギア王国へ
昨日関所を馬で通過して丸一日馬車で走り続けている。
通過時は人の姿を認識しにくくする魔術をかけてくれたようで、素通りだった。

それにしても先日までいた暑い国とのギャップがすごい。
さすが大陸最北端と呼ばれる場所だ。

キルギア王国は昔、リストリア帝国の領地の一部だった。
北部の針葉樹林に魔獣がはびこり、それを退治するために魔力の高い者を派遣したのがキルギア地方の始まりだ。
剣術だけでも魔獣は倒せたが、魔力で倒せば、その十分の一の力ですむため魔力のある者でないといけなかった。
魔獣はほうっておけば勝手に南下してきて人々を襲うためその場所に派遣された者は皇帝も一目を置き、公爵位を叙爵した。
キルギア公爵家の発祥である。

その後キルギア公爵家は魔力だけでなく、剣術や戦術についてもすぐれた能力を発揮し、北方の針葉樹林だけでできていたような領地に農地を作り、魔力を使って冬でも道路が通れるように整え、発展させ、公国として独立した。
キルギア公国となってからも帝国の属国であることに変わりはなかったが、着々と力はつけていった。

リストリア帝国の属国間投票で認めさせ、ついに王国として独立したのは二年前の話だ。
それから平和に国は統治されていたが、初代キルギア王が王位についていたのは一年ほどで国王は謎の死を遂げた。つづいて王妃も亡くなったとされる。
その後の国を継いだのは今まで魔獣討伐と戦争にあけくれていた弟だった。
それがデュランダルである。
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