初夜に暗殺された王女は魔獣の国で再起する~魔獣の国の王の求愛がとまりません
15.魔王
半年ぶりにここにきてシェリアは周りのあまりの人気のなさと殺風景さに驚きをかくせなかった。

「何? ここは」

「かなり荒れ果てているな」

王宮の前には警備の者すらおらず、中はがらんとしている。

「それに中から強烈な魔力を感じる。今まで感じたことのないような負の魔力だ」

『ああ。われらは負の感情から生まれるが、魔王はそれを育てるのだ。われらはそれを浄化する。だから魔王はわれらの敵なのだ』

「中に入るしかなさそうだ。シェリア。案内を頼めるか?」

「任せてください」

ひとり前に立とうとすると、デュランダルが許さず、シェリアの手をとった。

「ダメだ。手をつながないと。ひとりで行こうとするな」

「はい。わかりました」

ゆっくりと中に進む。
魔王は早く倒さなければならない。けれど、絶対に焦ってはいけない。
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