メシマズな彼女はイケメンシェフに溺愛される
3 メシマズ女と料理
日曜日。
定休日であるにも関わらず『Clair de Lune』の店内はにぎわっていた。
男女合わせて七人。ふたつのテーブルをくっつけて作った席の中心で、淳太はどかっと座っている。
陽音は苛立ちを募らせていた。
以前なら恐怖ですくんでいたのに、今は全身に怒りが満ちている。それだけでも成長した気がするが、まだまだ足りない。
陽音は奥をちらりと見た。奥のテーブルはパーテーションで仕切って入れないようにしてある。最終兵器が隠してあるので、見るたびに緊張する。
飲み物は最初に陽音がオーダーを受けて配った。
「あいつがメシマズの元カノ?」
「そうなんだ、最悪だぞ」
友達に聞かれて嘲笑する淳太に、陽音はぐっと奥歯を噛み締める。
「まずかったら今後はずっと無料になるんだよな」
「っちゃけ、おいしくてもまずいって言えば無料の食料ゲット」
ひそひそと笑い合うのがひたすらに不快だ。店員の目の前でよくもまあ、と思う。
だけど乃蒼の料理は絶対においしい。彼らだって認めるはずだ。
乃蒼を見ると彼は黙って頷き、カウンターの外へ出て陽音と並んだ。
「本日はお集まりいただき、ありがとうございます。当店の口コミがひどくて苦慮しておりまして、須藤様に提案して本日の試食会となりました。十品ほど試食していただき、味の評価をしていただきます。試食会のあとにはワインとおつまみをふるまわせていただきますので、どうぞお楽しみください」
「やった」
「飲み放題!」
男たちがわいわいと喜ぶが、女の子たちは不安そうだ。
定休日であるにも関わらず『Clair de Lune』の店内はにぎわっていた。
男女合わせて七人。ふたつのテーブルをくっつけて作った席の中心で、淳太はどかっと座っている。
陽音は苛立ちを募らせていた。
以前なら恐怖ですくんでいたのに、今は全身に怒りが満ちている。それだけでも成長した気がするが、まだまだ足りない。
陽音は奥をちらりと見た。奥のテーブルはパーテーションで仕切って入れないようにしてある。最終兵器が隠してあるので、見るたびに緊張する。
飲み物は最初に陽音がオーダーを受けて配った。
「あいつがメシマズの元カノ?」
「そうなんだ、最悪だぞ」
友達に聞かれて嘲笑する淳太に、陽音はぐっと奥歯を噛み締める。
「まずかったら今後はずっと無料になるんだよな」
「っちゃけ、おいしくてもまずいって言えば無料の食料ゲット」
ひそひそと笑い合うのがひたすらに不快だ。店員の目の前でよくもまあ、と思う。
だけど乃蒼の料理は絶対においしい。彼らだって認めるはずだ。
乃蒼を見ると彼は黙って頷き、カウンターの外へ出て陽音と並んだ。
「本日はお集まりいただき、ありがとうございます。当店の口コミがひどくて苦慮しておりまして、須藤様に提案して本日の試食会となりました。十品ほど試食していただき、味の評価をしていただきます。試食会のあとにはワインとおつまみをふるまわせていただきますので、どうぞお楽しみください」
「やった」
「飲み放題!」
男たちがわいわいと喜ぶが、女の子たちは不安そうだ。