魔法のプリンセス・アガットの、キラキラすてきなお部屋づくり
 アガット姫は、魔法の国のプリンセス。
 心やさしいがんばりやの女の子です。
 そして、すてきなお部屋をつくるのが大好き!

 ベッドでいっしょに眠っているタレ耳の犬は、あいぼうのポテ。
 おいしいものを食べる夢でも見てるのかな?
 口をモグモグさせながら、幸せそうに笑っています。
 でも、そろそろ起きる時間です。

「ポテ、おはよう。今日もいっしょに、すてきなお部屋を作りましょう」

 アガットがベッドから飛びおりると、ポテはびっくりしてゴロンと転げおちてしまいました。

「姫さま、おはよう。ぼくね、カリカリクッキーの夢を見たの」
「わたしはふわふわパンケーキの夢を見たわ」

 アガットは水色の髪をゆらしながら、ニコッと笑います。

「だったら、今日はあまくてカワイイ、おかしのお部屋できまりね!」

 そして頭の上のハート型のティアラを、トン!と手でさわると――。
 あら不思議!
 ピンク色の光がふわっとひろがって、テーブルの上にクッキーがポンッ!と現れたのです。

「クッキーは窓にかざろう。次はベッドね」

 そしてもう一度、ティアラをトン!と手でさわると、こんどはパンケーキがポンッ!
 あったかくてふわふわのパンケーキはベッドにぴったり。
 でも、あれれ? 大きさはカスタネットくらいです。
 ベッドにしては、ちょっと小さすぎるかな?

「う~ん、魔法はまだまだ練習中ね」

 アガットはペロッと舌をだして肩をすくめました。
 そんな時は、ポテの出番です。

「よし、ぼくにまかせて!」

 ポテは首にまいていたピンク色のスカーフを、ブンブンふりました。
 すると、ドーン!と大きなベッドに変身!
 でもまちがって、カリカリクッキーのほうを大きくしてしまいました。
 これじゃかたすぎて、眠れません。

「姫さま、ごめんね」
「だいじょうぶ、どじっこのポテも大好きよ」

 アガットは笑顔を見せました。
 ポテの優しさがうれしかったのです。


☆♡☆.゚・*.


 おかしのお部屋を完成させたあと、アガットはパパの部屋によばれました。
 パパはルミナス王国の魔法の王様。
 キラキラの星くずシャンデリアの下、宝石のピカピカ椅子にすわっています。

「アガット、この国に三人のお客さまが来るよ。心からおもてなしをしてほしい」

 パパからのお願いに、アガットは大はりきり。

「すてきなお部屋で、みんなを笑顔にするね!」

 目をキラキラさせます。

「姫さま、クッキーがいっぱいのお部屋はどう?」
「ポテ、だめよ。お客さまの気もちを考えなきゃ」

 アガットは少しなやんで、ひらめきました。

「そうだ、お客さまがよろこぶお部屋を、ひとつひとつ作っていこう!」

 そうときまったら、だれが来るのか知りたくてたまりません。
 アガットはあたまの上のハート形ティアラをトン!とさわります。
 するとピンクの光とともに、3つの風船がポンッ!とうかびました。

 そこに書かれていたのは……
【フラワーの国】【エメラルド王国】【なないろ星のステージ】

「ポテ、最初のお客さまをあててみよう!」


★クイズ:『みんなもアガットといっしょに考えてね。ヒントは【フラワーの国】だよ』

1.海のマーメイド
2.花のプリンセス
3.星のバレリーナ

正解は2の「花のプリンセス」


「やった!フルール姫だ! どんなお部屋が好きかな?」

 アガットはワクワクがとまりません。


☆♡☆.゚・*.


さあ、じゅんび開始!
アガットとポテは、魔法の道具がならんだ部屋へダッシュします。
そこにはキラキラのハサミ、ふわふわの布、ピカピカの絵の具がいっぱい!

「三人のお客さまを、ぜったいに笑顔にするんだから」
「ぼくもお手伝いするよ!」

ポテはしっぽをふりふりしながら、スカーフをブンブンふります。
でもはりきりすぎて、絵の具をドバーッと大きくしてしまいました。
魔法道具の部屋は、あっという間にカラフル!

「姫さま、ごめんなさ~い」

ポテはしょんぼりするけど、アガットはニコニコ。

「ポテのがんばりも、おもてなしだよ!」


 さあ、アガットの長い一日がはじまります。
「ねぇ、みんなはどんなお部屋が好き?」


★体験:『おまけのシールをはって、あなたの好きなお部屋を作ってみよう!』


☆♡☆.゚・*.


 ルミナス王国のお城に、さいしょのお客さまがやってきました。
 フラワー国の花のプリンセス、フルール姫。
 白と黄色のふわふわドレスに、大きな花のぼうしをかぶっていて、とっても豪華!

「ようこそ、フルール姫。あなたはお花が好きなのかな?」
「ええ、そうよ。だから私の部屋は、花でいっぱいにしてよね」
「うん、まかせて!」

 アガットがティアラをトン!とさわると、小さな花がポン!ポン!とたくさん現れました。
 お花畑みたいでとってもキレイ。
 でもフルール姫はつまらなそうに、首を横にふります。

「ただの花じゃダメよ。ふわふわでキラキラじゃなきゃ」
「ふわふわでキラキラのお花って、なんだろう?」
「ヒントはこれよ!」

 フルール姫はニヤリとわらうと、【花の暗号カード】をわたして、クルッと去ってしまいました。
 そこに書かれていたのは……
『わたしの好きな花は、赤でも青でもピンクでもないわ。ふわふわの雲みたいで、キラキラのしずくがついてるの』

「姫さま、花の形のクッキーかな?」
「ポテ、それぜったいにちがうよ!」

 アガットはティアラをトン!とさわります。
 でもポンッ!と飛び出してきたのは、ふわふわとは反対のトゲトゲサボテン。
 魔法はまだまだ練習中のようです。

「あ~ん、みんな助けて!」


★クイズ:『アガットといっしょに考えてね。フルール姫の好きな花はどれかな? ヒントは【雲みたいで、キラキラのしずく】だよ』

1.宝石のついた、赤いバラ
2.月明かりで青く光った、チューリップ
3.しずくのついた、白いタンポポのわたげ
4.つやつやキャンディーみたいな、ピンクのガーベラ

正解は3の「白いタンポポのわたげ」


☆♡☆.゚・*.


「タンポポだ! 白いわたげがふわふわの雲みたいで、あさつゆがキラキラしてる!」

 アガットはお城の庭にいき、白いわたげをたくさん集めました。

「これでふわふわのベッドを作ろう」
「姫さま、ぼくにまかせて!」

 ポテはスカーフをぶんぶんふります。

「大きくな~れ~!」

 でもまちがって、トゲトゲのサボテンを大きくしてしまいました。

「姫さま、ごめんなさい!」
「ポテ、落ちついて。スカーフで元にもどそう」

 アガットに言われて、ポテは慌ててスカーフをもう一度ふります。
 するとサボテンはしゅるしゅると小さくなりました。

「失敗してもだいじょうぶ。もういちど考えて、直していけばいいんだよ」

 アガットはポテの頭をやさしくなでます。
 ふたりで協力して、フルール姫の好きな、ふわふわキラキラの花のお部屋がかんせいしました。


☆♡☆.゚・*.


 わたげのベッド、黄色い花びらのクッション。
 窓からさしこむ光で、あさつゆがキラキラしています。
 そんなタンポポだらけのお部屋を見て、フルール姫は大よろこび!

「アガット、ありがとう。こんなにすてきなお部屋はじめて!」

 キラキラまぶしいフルール姫の笑顔を見て、アガットはあたたかい気持ちになりました。
 アガットとフルール姫はわたげをふーっとふいて、窓からとばしていっしょにあそびます。
 おもてなしの心で、ふたりは友達になりました。

「次のお客さまも、笑顔にしたいな」


☆♡☆.゚・*.


 お昼をすぎたころ、ふたりめのお客さまが宙を泳ぎながらやってきました。
 エメラルド王国のマーメイド、コーデリア。
 エメラルドのしっぽと、髪をかざるパールのアクセサリーがキラキラ!
 とっても上品でキレイです。

「ようこそ、コーデリア。あなたは海が好きなのかな?」
「もちろんよ。だから私のお部屋を、海の底みたいにしてくださいな」
「うん、まかせて!」

 アガットがティアラをトン!とさわると、小さな貝殻がポン!ポン!とたくさん現れました。
 これを部屋中にしきつめたら、まるで海の底にいるみたいであざやか。
 でもコーデリアはものたりなさそうに、首を横にふります。

「ただの海じゃつまらないわ。ひみつの宝物をおける部屋にしてほしいの」
「ひみつの宝物って、なんだろう?」
「ヒントはこれよ」

 コーデリアはゆうがに笑うと、【海の暗号カード】をわたして、泡といっしょに消えていきました。
 そこに書かれていたのは……
『わたしの宝物は、波の音が聞こえる。サンゴの森の奥でキラキラ光ってるわ』

「姫さま、魚の形のキラキラクッキーかな?」
「ポテ、ぜったいにちがうってば」

 アガットはティアラをトン!とさわります。
 でもポンッ!と飛び出してきたのは、白い泡とゴツゴツのサンゴだけ。
 コーデリアの宝物とはいえません。

「あ~ん、みんな助けて!」


★迷路:『アガットといっしょに、コーデリアの宝物を見つけよう! 魚と海草をさけながら、キラキラ光ってる場所までたどりついてね』


☆♡☆.゚・*.


「見つけた! うわ~、とってもキレイ!」

 サンゴの森の奥にあったのは、キラキラ光る貝殻ランプ。
 海にいなくても波音が聞こえる、コーデリアの宝物です。

「これをお部屋にかざるなら、サンゴのたなを作らなきゃね」
「ぼくにまかせて!」

 ポテはしっぽをふりふり、スカーフをブンブン広げます。
 すると小さかったサンゴが、すくすく成長⁉

「ポテ、やりすぎだよ~。こんなに大きくしたらお部屋にあながあいちゃう」
「姫さま、ごめんなさい。えっと、こういうときは……」

 ポテはあわててスカーフをもう一度ふります。
 すると天井までのびていたサンゴが、せたけの半分までしゅるしゅる小さくなりました。

「失敗したけど、自分でやり直せたよ」

 アガットとポテは協力して、コーデリアの宝物がおける、海の底みたいなお部屋をかんせいさせました。


☆♡☆.゚・*.


 エメラルドのかべに、ふわふわの泡のカーペット。
 色とりどりのサンゴのたなには、貝殻のランプがキラキラ光っています。
 そんな宝物がおかれたお部屋を見て、コーデリアは大よろこび!

「アガット、なんてステキなの! ほんとうに海の底にいるみたいだわ」

 幸せそうにほほえむコーデリアを見て、アガットはあたたかい気持ちになりました。
 アガットとコーデリアは窓辺にすわって、いっしょに波の音をたのしみます。
 おもてなしの心で、ふたりは友達になりました。

「次のお客さまも、笑顔にしたいな」


☆♡☆.゚・*.


 日がしずんだころ、さいごのお客さまがやってきました。
 星のステージのバレリーナ、スターリー。
 七色のドレスと、星のヘアピンがキラキラ!
 くるくるおどるすがたは流れ星のようで、うっとりします。

「ようこそ、スターリー。あなたは星が好きなのかな?」
「……」

 アガットはいつものように聞いてみるけど、スターリーはなにも言ってくれません。
 どうやらとってもシャイな女の子みたいです。
 こまりました! これではおもてなしのお部屋が作れません。

 アガットがハートのティアラをトン!とさわると、小さな星のかけらがポン!ポン!とたくさん現れました。
 これを天井にちりばめたら、天の川みたいでキレイだけど……
 そんなに簡単じゃないことは、もうじゅうぶんわかっています。

 スターリーの好きなものってなんだろう?
 アガットはじっと見つめます。
 七色のキラキラの星、クルクルのバレエ。でもそれだけじゃなさそう。

「これはしれん……」

 スターリーは【星の暗号カード】をのこして、星くずといっしょに消えてしまいました。
 そこに書かれていたのは……
『わたしが好きなのは七色のキラキラ。クルクルおどるとハートになって、夜空にうかぶわ』

「姫さま、星でつくったハート型のクッキーかな?」
「う~ん、たぶんちがうと思うけど……」

 アガットはティアラをトン!とさわります。
 でもポンッ!と飛び出してきたのは、星のかけらだけ。
 これじゃハートにはなりません。

「あ~ん、みんな助けて!」


★クイズ:『アガットといっしょに考えてね! スターリーの好きなものはどれかな? ヒント【七色でキラキラ、くるくるでハートだよ】』

1.キラキラ七色のガラス星
2.くるくるハートの七色キラキラリボン
3.星のキラキラふうせん
4.星のペロペロキャンディー

正解は2の「くるくるハートの七色リボン」


☆♡☆.゚・*.


「ハートの形になるリボンね。とってもカワイイ」

 七色に光るリボンは、くるくるおどるように形をかえます。
 ハートになったり、リボンになったり。
 とってもキレイだけど、これじゃ、おもてなしのお部屋はつくれません。
 アガットがこまっていると、スターリーが近づいてきました。

「リボン……ありがとう」

 スターリーは小さく笑います。
 もっともっと笑顔にしたいのに、アガットはまだ、スターリーの好きが分かりません。

「ねえ、どんな星が好き?」
「……」

 やっぱりスターリーは教えてくれません。

「どうすればいいのかな?」
「姫さま、ぼくにまかせて!」

 ポテはスカーフをブンブンふりました。
 すると星が夜空よりも大きくなって――
 バーンと大ばくはつ!
 こなごなの星くずになってしまいました。

「うわ~、星のシャワーだ~」

 キラキラの星明りはとってもキレイだけど、大失敗。
 と、思ったら――。

「アガット……これをつかって」

 スターリーが七色リボンをさしだします。

「このリボンで、バラバラになった星をハートにつないでみて」


★点つなぎ:『みんなも手伝ってね! 数字をじゅんばんに線でむすんでいくよ』


☆♡☆.゚・*.


 小さな星くずを繋ぎ合わせると、大きなハートになっちゃった!
 夜空にうかぶハートの星を、そっとお部屋にはこびます。
 やさしい光がキラキラして、リボンがハート型にくるくるおどって。
 おだやかでピカピカのお部屋は、スターリーの心みたい。

「アガットありがとう。とてもすてきなお部屋」

 大きく口をあけて笑うスターリーを見て、アガットはうれしい気持ちでいっぱいになりました。
 そしてスターリーはポテの頭をなでます。

「ポテも……ありがとう」

 どうやらポテにも新しい友達ができたみたいです。


☆♡☆.゚・*.


 その夜、お城の大ひろまにみんなが集まりました。
 花のフルール姫、マーメイドのコーデリア、星のバレリーナスターリー。
 アガットとポテもおしゃれをして、さ~パーティーのはじまりです。

 アガットの最後のおもてなしは、みんなのために大ひろまをすてきにすること。
 タンポポのきらきらシャンデリア、白い泡のふわふわカーペット、かべは七色のリボンと星でピカピカにしました。
 これには三人も大よろこび!

「よし、さいごの仕上げ!」

 アガットはハート型のティアラをトン!とさわり、ハートの花火をポンッ!
 でも小さすぎて、空にあがる前にきえてしまいました。

「う~ん、やっぱり魔法は練習中ね」

 失敗しちゃったけど、三人のお客さまはニコニコ。

「アガットの花火、花よりもキレイよ」

 フルール姫はおもてなしのお礼に、タンポポのゆびわをプレゼントしてくれました。

「アガットのやさしさは、海の底よりキラキラしてるわ」

 コーデリアはすーっと宙を泳いで、貝殻のネックレスを首にかけてくれました。

「アガットの思いやる気もち……一番かがやいてる」

 スターリーはくるくるつま先で回りながら、星のブレスレットを渡してくれました。
 アガットは三つのおくりものを抱きしめて、あたたかい気持ちになります。

「ありがとう。でもね、みんなの笑顔が最高のおくりものだよ!」

 おもてなしの気もちでみんなの心はキラキラ、ふわふわ。
 アガットのお部屋づくりはだ大せいこうです。


☆♡☆.゚・*.


 パーティのあと、アガットとポテは自分の部屋にもどりました。

「ポテ、お部屋づくり楽しかったね」
「姫さま、こんどはカリカリクッキーのお部屋がいいな」

 キラキラお目めでしっぽふりふりのポテに、アガットは大きく笑いました。

「うん! 次はポテをおもてなしするね!」


『あなただったら、どんなお部屋にする?』
『みんなも、おもてなしで、だれかをキラキラの笑顔にさせてね』

 《Fin》
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