魔法のプリンセス・アガットの、キラキラすてきなお部屋づくり
アガット姫は、魔法の国のプリンセス。
心やさしいがんばりやの女の子です。
そして、すてきなお部屋をつくるのが大好き!
ベッドでいっしょに眠っているタレ耳の犬は、あいぼうのポテ。
おいしいものを食べる夢でも見てるのかな?
口をモグモグさせながら、幸せそうに笑っています。
でも、そろそろ起きる時間です。
「ポテ、おはよう。今日もいっしょに、すてきなお部屋を作りましょう」
アガットがベッドから飛びおりると、ポテはびっくりしてゴロンと転げおちてしまいました。
「姫さま、おはよう。ぼくね、カリカリクッキーの夢を見たの」
「わたしはふわふわパンケーキの夢を見たわ」
アガットは水色の髪をゆらしながら、ニコッと笑います。
「だったら、今日はあまくてカワイイ、おかしのお部屋できまりね!」
そして頭の上のハート型のティアラを、トン!と手でさわると――。
あら不思議!
ピンク色の光がふわっとひろがって、テーブルの上にクッキーがポンッ!と現れたのです。
「クッキーは窓にかざろう。次はベッドね」
そしてもう一度、ティアラをトン!と手でさわると、こんどはパンケーキがポンッ!
あったかくてふわふわのパンケーキはベッドにぴったり。
でも、あれれ? 大きさはカスタネットくらいです。
ベッドにしては、ちょっと小さすぎるかな?
「う~ん、魔法はまだまだ練習中ね」
アガットはペロッと舌をだして肩をすくめました。
そんな時は、ポテの出番です。
「よし、ぼくにまかせて!」
ポテは首にまいていたピンク色のスカーフを、ブンブンふりました。
すると、ドーン!と大きなベッドに変身!
でもまちがって、カリカリクッキーのほうを大きくしてしまいました。
これじゃかたすぎて、眠れません。
「姫さま、ごめんね」
「だいじょうぶ、どじっこのポテも大好きよ」
アガットは笑顔を見せました。
ポテの優しさがうれしかったのです。
☆♡☆.゚・*.
おかしのお部屋を完成させたあと、アガットはパパの部屋によばれました。
パパはルミナス王国の魔法の王様。
キラキラの星くずシャンデリアの下、宝石のピカピカ椅子にすわっています。
「アガット、この国に三人のお客さまが来るよ。心からおもてなしをしてほしい」
パパからのお願いに、アガットは大はりきり。
「すてきなお部屋で、みんなを笑顔にするね!」
目をキラキラさせます。
「姫さま、クッキーがいっぱいのお部屋はどう?」
「ポテ、だめよ。お客さまの気もちを考えなきゃ」
アガットは少しなやんで、ひらめきました。
「そうだ、お客さまがよろこぶお部屋を、ひとつひとつ作っていこう!」
そうときまったら、だれが来るのか知りたくてたまりません。
アガットはあたまの上のハート形ティアラをトン!とさわります。
するとピンクの光とともに、3つの風船がポンッ!とうかびました。
そこに書かれていたのは……
【フラワーの国】【エメラルド王国】【なないろ星のステージ】
「ポテ、最初のお客さまをあててみよう!」
★クイズ:『みんなもアガットといっしょに考えてね。ヒントは【フラワーの国】だよ』
1.海のマーメイド
2.花のプリンセス
3.星のバレリーナ
正解は2の「花のプリンセス」
「やった!フルール姫だ! どんなお部屋が好きかな?」
アガットはワクワクがとまりません。
☆♡☆.゚・*.
さあ、じゅんび開始!
アガットとポテは、魔法の道具がならんだ部屋へダッシュします。
そこにはキラキラのハサミ、ふわふわの布、ピカピカの絵の具がいっぱい!
「三人のお客さまを、ぜったいに笑顔にするんだから」
「ぼくもお手伝いするよ!」
ポテはしっぽをふりふりしながら、スカーフをブンブンふります。
でもはりきりすぎて、絵の具をドバーッと大きくしてしまいました。
魔法道具の部屋は、あっという間にカラフル!
「姫さま、ごめんなさ~い」
ポテはしょんぼりするけど、アガットはニコニコ。
「ポテのがんばりも、おもてなしだよ!」
さあ、アガットの長い一日がはじまります。
「ねぇ、みんなはどんなお部屋が好き?」
★体験:『おまけのシールをはって、あなたの好きなお部屋を作ってみよう!』
☆♡☆.゚・*.
ルミナス王国のお城に、さいしょのお客さまがやってきました。
フラワー国の花のプリンセス、フルール姫。
白と黄色のふわふわドレスに、大きな花のぼうしをかぶっていて、とっても豪華!
「ようこそ、フルール姫。あなたはお花が好きなのかな?」
「ええ、そうよ。だから私の部屋は、花でいっぱいにしてよね」
「うん、まかせて!」
アガットがティアラをトン!とさわると、小さな花がポン!ポン!とたくさん現れました。
お花畑みたいでとってもキレイ。
でもフルール姫はつまらなそうに、首を横にふります。
「ただの花じゃダメよ。ふわふわでキラキラじゃなきゃ」
「ふわふわでキラキラのお花って、なんだろう?」
「ヒントはこれよ!」
フルール姫はニヤリとわらうと、【花の暗号カード】をわたして、クルッと去ってしまいました。
そこに書かれていたのは……
『わたしの好きな花は、赤でも青でもピンクでもないわ。ふわふわの雲みたいで、キラキラのしずくがついてるの』
「姫さま、花の形のクッキーかな?」
「ポテ、それぜったいにちがうよ!」
アガットはティアラをトン!とさわります。
でもポンッ!と飛び出してきたのは、ふわふわとは反対のトゲトゲサボテン。
魔法はまだまだ練習中のようです。
「あ~ん、みんな助けて!」
★クイズ:『アガットといっしょに考えてね。フルール姫の好きな花はどれかな? ヒントは【雲みたいで、キラキラのしずく】だよ』
1.宝石のついた、赤いバラ
2.月明かりで青く光った、チューリップ
3.しずくのついた、白いタンポポのわたげ
4.つやつやキャンディーみたいな、ピンクのガーベラ
正解は3の「白いタンポポのわたげ」
☆♡☆.゚・*.
「タンポポだ! 白いわたげがふわふわの雲みたいで、あさつゆがキラキラしてる!」
アガットはお城の庭にいき、白いわたげをたくさん集めました。
「これでふわふわのベッドを作ろう」
「姫さま、ぼくにまかせて!」
ポテはスカーフをぶんぶんふります。
「大きくな~れ~!」
でもまちがって、トゲトゲのサボテンを大きくしてしまいました。
「姫さま、ごめんなさい!」
「ポテ、落ちついて。スカーフで元にもどそう」
アガットに言われて、ポテは慌ててスカーフをもう一度ふります。
するとサボテンはしゅるしゅると小さくなりました。
「失敗してもだいじょうぶ。もういちど考えて、直していけばいいんだよ」
アガットはポテの頭をやさしくなでます。
ふたりで協力して、フルール姫の好きな、ふわふわキラキラの花のお部屋がかんせいしました。
☆♡☆.゚・*.
わたげのベッド、黄色い花びらのクッション。
窓からさしこむ光で、あさつゆがキラキラしています。
そんなタンポポだらけのお部屋を見て、フルール姫は大よろこび!
「アガット、ありがとう。こんなにすてきなお部屋はじめて!」
キラキラまぶしいフルール姫の笑顔を見て、アガットはあたたかい気持ちになりました。
アガットとフルール姫はわたげをふーっとふいて、窓からとばしていっしょにあそびます。
おもてなしの心で、ふたりは友達になりました。
「次のお客さまも、笑顔にしたいな」
☆♡☆.゚・*.
お昼をすぎたころ、ふたりめのお客さまが宙を泳ぎながらやってきました。
エメラルド王国のマーメイド、コーデリア。
エメラルドのしっぽと、髪をかざるパールのアクセサリーがキラキラ!
とっても上品でキレイです。
「ようこそ、コーデリア。あなたは海が好きなのかな?」
「もちろんよ。だから私のお部屋を、海の底みたいにしてくださいな」
「うん、まかせて!」
アガットがティアラをトン!とさわると、小さな貝殻がポン!ポン!とたくさん現れました。
これを部屋中にしきつめたら、まるで海の底にいるみたいであざやか。
でもコーデリアはものたりなさそうに、首を横にふります。
「ただの海じゃつまらないわ。ひみつの宝物をおける部屋にしてほしいの」
「ひみつの宝物って、なんだろう?」
「ヒントはこれよ」
コーデリアはゆうがに笑うと、【海の暗号カード】をわたして、泡といっしょに消えていきました。
そこに書かれていたのは……
『わたしの宝物は、波の音が聞こえる。サンゴの森の奥でキラキラ光ってるわ』
「姫さま、魚の形のキラキラクッキーかな?」
「ポテ、ぜったいにちがうってば」
アガットはティアラをトン!とさわります。
でもポンッ!と飛び出してきたのは、白い泡とゴツゴツのサンゴだけ。
コーデリアの宝物とはいえません。
「あ~ん、みんな助けて!」
★迷路:『アガットといっしょに、コーデリアの宝物を見つけよう! 魚と海草をさけながら、キラキラ光ってる場所までたどりついてね』
☆♡☆.゚・*.
「見つけた! うわ~、とってもキレイ!」
サンゴの森の奥にあったのは、キラキラ光る貝殻ランプ。
海にいなくても波音が聞こえる、コーデリアの宝物です。
「これをお部屋にかざるなら、サンゴのたなを作らなきゃね」
「ぼくにまかせて!」
ポテはしっぽをふりふり、スカーフをブンブン広げます。
すると小さかったサンゴが、すくすく成長⁉
「ポテ、やりすぎだよ~。こんなに大きくしたらお部屋にあながあいちゃう」
「姫さま、ごめんなさい。えっと、こういうときは……」
ポテはあわててスカーフをもう一度ふります。
すると天井までのびていたサンゴが、せたけの半分までしゅるしゅる小さくなりました。
「失敗したけど、自分でやり直せたよ」
アガットとポテは協力して、コーデリアの宝物がおける、海の底みたいなお部屋をかんせいさせました。
☆♡☆.゚・*.
エメラルドのかべに、ふわふわの泡のカーペット。
色とりどりのサンゴのたなには、貝殻のランプがキラキラ光っています。
そんな宝物がおかれたお部屋を見て、コーデリアは大よろこび!
「アガット、なんてステキなの! ほんとうに海の底にいるみたいだわ」
幸せそうにほほえむコーデリアを見て、アガットはあたたかい気持ちになりました。
アガットとコーデリアは窓辺にすわって、いっしょに波の音をたのしみます。
おもてなしの心で、ふたりは友達になりました。
「次のお客さまも、笑顔にしたいな」
☆♡☆.゚・*.
日がしずんだころ、さいごのお客さまがやってきました。
星のステージのバレリーナ、スターリー。
七色のドレスと、星のヘアピンがキラキラ!
くるくるおどるすがたは流れ星のようで、うっとりします。
「ようこそ、スターリー。あなたは星が好きなのかな?」
「……」
アガットはいつものように聞いてみるけど、スターリーはなにも言ってくれません。
どうやらとってもシャイな女の子みたいです。
こまりました! これではおもてなしのお部屋が作れません。
アガットがハートのティアラをトン!とさわると、小さな星のかけらがポン!ポン!とたくさん現れました。
これを天井にちりばめたら、天の川みたいでキレイだけど……
そんなに簡単じゃないことは、もうじゅうぶんわかっています。
スターリーの好きなものってなんだろう?
アガットはじっと見つめます。
七色のキラキラの星、クルクルのバレエ。でもそれだけじゃなさそう。
「これはしれん……」
スターリーは【星の暗号カード】をのこして、星くずといっしょに消えてしまいました。
そこに書かれていたのは……
『わたしが好きなのは七色のキラキラ。クルクルおどるとハートになって、夜空にうかぶわ』
「姫さま、星でつくったハート型のクッキーかな?」
「う~ん、たぶんちがうと思うけど……」
アガットはティアラをトン!とさわります。
でもポンッ!と飛び出してきたのは、星のかけらだけ。
これじゃハートにはなりません。
「あ~ん、みんな助けて!」
★クイズ:『アガットといっしょに考えてね! スターリーの好きなものはどれかな? ヒント【七色でキラキラ、くるくるでハートだよ】』
1.キラキラ七色のガラス星
2.くるくるハートの七色キラキラリボン
3.星のキラキラふうせん
4.星のペロペロキャンディー
正解は2の「くるくるハートの七色リボン」
☆♡☆.゚・*.
「ハートの形になるリボンね。とってもカワイイ」
七色に光るリボンは、くるくるおどるように形をかえます。
ハートになったり、リボンになったり。
とってもキレイだけど、これじゃ、おもてなしのお部屋はつくれません。
アガットがこまっていると、スターリーが近づいてきました。
「リボン……ありがとう」
スターリーは小さく笑います。
もっともっと笑顔にしたいのに、アガットはまだ、スターリーの好きが分かりません。
「ねえ、どんな星が好き?」
「……」
やっぱりスターリーは教えてくれません。
「どうすればいいのかな?」
「姫さま、ぼくにまかせて!」
ポテはスカーフをブンブンふりました。
すると星が夜空よりも大きくなって――
バーンと大ばくはつ!
こなごなの星くずになってしまいました。
「うわ~、星のシャワーだ~」
キラキラの星明りはとってもキレイだけど、大失敗。
と、思ったら――。
「アガット……これをつかって」
スターリーが七色リボンをさしだします。
「このリボンで、バラバラになった星をハートにつないでみて」
★点つなぎ:『みんなも手伝ってね! 数字をじゅんばんに線でむすんでいくよ』
☆♡☆.゚・*.
小さな星くずを繋ぎ合わせると、大きなハートになっちゃった!
夜空にうかぶハートの星を、そっとお部屋にはこびます。
やさしい光がキラキラして、リボンがハート型にくるくるおどって。
おだやかでピカピカのお部屋は、スターリーの心みたい。
「アガットありがとう。とてもすてきなお部屋」
大きく口をあけて笑うスターリーを見て、アガットはうれしい気持ちでいっぱいになりました。
そしてスターリーはポテの頭をなでます。
「ポテも……ありがとう」
どうやらポテにも新しい友達ができたみたいです。
☆♡☆.゚・*.
その夜、お城の大ひろまにみんなが集まりました。
花のフルール姫、マーメイドのコーデリア、星のバレリーナスターリー。
アガットとポテもおしゃれをして、さ~パーティーのはじまりです。
アガットの最後のおもてなしは、みんなのために大ひろまをすてきにすること。
タンポポのきらきらシャンデリア、白い泡のふわふわカーペット、かべは七色のリボンと星でピカピカにしました。
これには三人も大よろこび!
「よし、さいごの仕上げ!」
アガットはハート型のティアラをトン!とさわり、ハートの花火をポンッ!
でも小さすぎて、空にあがる前にきえてしまいました。
「う~ん、やっぱり魔法は練習中ね」
失敗しちゃったけど、三人のお客さまはニコニコ。
「アガットの花火、花よりもキレイよ」
フルール姫はおもてなしのお礼に、タンポポのゆびわをプレゼントしてくれました。
「アガットのやさしさは、海の底よりキラキラしてるわ」
コーデリアはすーっと宙を泳いで、貝殻のネックレスを首にかけてくれました。
「アガットの思いやる気もち……一番かがやいてる」
スターリーはくるくるつま先で回りながら、星のブレスレットを渡してくれました。
アガットは三つのおくりものを抱きしめて、あたたかい気持ちになります。
「ありがとう。でもね、みんなの笑顔が最高のおくりものだよ!」
おもてなしの気もちでみんなの心はキラキラ、ふわふわ。
アガットのお部屋づくりはだ大せいこうです。
☆♡☆.゚・*.
パーティのあと、アガットとポテは自分の部屋にもどりました。
「ポテ、お部屋づくり楽しかったね」
「姫さま、こんどはカリカリクッキーのお部屋がいいな」
キラキラお目めでしっぽふりふりのポテに、アガットは大きく笑いました。
「うん! 次はポテをおもてなしするね!」
『あなただったら、どんなお部屋にする?』
『みんなも、おもてなしで、だれかをキラキラの笑顔にさせてね』
《Fin》
心やさしいがんばりやの女の子です。
そして、すてきなお部屋をつくるのが大好き!
ベッドでいっしょに眠っているタレ耳の犬は、あいぼうのポテ。
おいしいものを食べる夢でも見てるのかな?
口をモグモグさせながら、幸せそうに笑っています。
でも、そろそろ起きる時間です。
「ポテ、おはよう。今日もいっしょに、すてきなお部屋を作りましょう」
アガットがベッドから飛びおりると、ポテはびっくりしてゴロンと転げおちてしまいました。
「姫さま、おはよう。ぼくね、カリカリクッキーの夢を見たの」
「わたしはふわふわパンケーキの夢を見たわ」
アガットは水色の髪をゆらしながら、ニコッと笑います。
「だったら、今日はあまくてカワイイ、おかしのお部屋できまりね!」
そして頭の上のハート型のティアラを、トン!と手でさわると――。
あら不思議!
ピンク色の光がふわっとひろがって、テーブルの上にクッキーがポンッ!と現れたのです。
「クッキーは窓にかざろう。次はベッドね」
そしてもう一度、ティアラをトン!と手でさわると、こんどはパンケーキがポンッ!
あったかくてふわふわのパンケーキはベッドにぴったり。
でも、あれれ? 大きさはカスタネットくらいです。
ベッドにしては、ちょっと小さすぎるかな?
「う~ん、魔法はまだまだ練習中ね」
アガットはペロッと舌をだして肩をすくめました。
そんな時は、ポテの出番です。
「よし、ぼくにまかせて!」
ポテは首にまいていたピンク色のスカーフを、ブンブンふりました。
すると、ドーン!と大きなベッドに変身!
でもまちがって、カリカリクッキーのほうを大きくしてしまいました。
これじゃかたすぎて、眠れません。
「姫さま、ごめんね」
「だいじょうぶ、どじっこのポテも大好きよ」
アガットは笑顔を見せました。
ポテの優しさがうれしかったのです。
☆♡☆.゚・*.
おかしのお部屋を完成させたあと、アガットはパパの部屋によばれました。
パパはルミナス王国の魔法の王様。
キラキラの星くずシャンデリアの下、宝石のピカピカ椅子にすわっています。
「アガット、この国に三人のお客さまが来るよ。心からおもてなしをしてほしい」
パパからのお願いに、アガットは大はりきり。
「すてきなお部屋で、みんなを笑顔にするね!」
目をキラキラさせます。
「姫さま、クッキーがいっぱいのお部屋はどう?」
「ポテ、だめよ。お客さまの気もちを考えなきゃ」
アガットは少しなやんで、ひらめきました。
「そうだ、お客さまがよろこぶお部屋を、ひとつひとつ作っていこう!」
そうときまったら、だれが来るのか知りたくてたまりません。
アガットはあたまの上のハート形ティアラをトン!とさわります。
するとピンクの光とともに、3つの風船がポンッ!とうかびました。
そこに書かれていたのは……
【フラワーの国】【エメラルド王国】【なないろ星のステージ】
「ポテ、最初のお客さまをあててみよう!」
★クイズ:『みんなもアガットといっしょに考えてね。ヒントは【フラワーの国】だよ』
1.海のマーメイド
2.花のプリンセス
3.星のバレリーナ
正解は2の「花のプリンセス」
「やった!フルール姫だ! どんなお部屋が好きかな?」
アガットはワクワクがとまりません。
☆♡☆.゚・*.
さあ、じゅんび開始!
アガットとポテは、魔法の道具がならんだ部屋へダッシュします。
そこにはキラキラのハサミ、ふわふわの布、ピカピカの絵の具がいっぱい!
「三人のお客さまを、ぜったいに笑顔にするんだから」
「ぼくもお手伝いするよ!」
ポテはしっぽをふりふりしながら、スカーフをブンブンふります。
でもはりきりすぎて、絵の具をドバーッと大きくしてしまいました。
魔法道具の部屋は、あっという間にカラフル!
「姫さま、ごめんなさ~い」
ポテはしょんぼりするけど、アガットはニコニコ。
「ポテのがんばりも、おもてなしだよ!」
さあ、アガットの長い一日がはじまります。
「ねぇ、みんなはどんなお部屋が好き?」
★体験:『おまけのシールをはって、あなたの好きなお部屋を作ってみよう!』
☆♡☆.゚・*.
ルミナス王国のお城に、さいしょのお客さまがやってきました。
フラワー国の花のプリンセス、フルール姫。
白と黄色のふわふわドレスに、大きな花のぼうしをかぶっていて、とっても豪華!
「ようこそ、フルール姫。あなたはお花が好きなのかな?」
「ええ、そうよ。だから私の部屋は、花でいっぱいにしてよね」
「うん、まかせて!」
アガットがティアラをトン!とさわると、小さな花がポン!ポン!とたくさん現れました。
お花畑みたいでとってもキレイ。
でもフルール姫はつまらなそうに、首を横にふります。
「ただの花じゃダメよ。ふわふわでキラキラじゃなきゃ」
「ふわふわでキラキラのお花って、なんだろう?」
「ヒントはこれよ!」
フルール姫はニヤリとわらうと、【花の暗号カード】をわたして、クルッと去ってしまいました。
そこに書かれていたのは……
『わたしの好きな花は、赤でも青でもピンクでもないわ。ふわふわの雲みたいで、キラキラのしずくがついてるの』
「姫さま、花の形のクッキーかな?」
「ポテ、それぜったいにちがうよ!」
アガットはティアラをトン!とさわります。
でもポンッ!と飛び出してきたのは、ふわふわとは反対のトゲトゲサボテン。
魔法はまだまだ練習中のようです。
「あ~ん、みんな助けて!」
★クイズ:『アガットといっしょに考えてね。フルール姫の好きな花はどれかな? ヒントは【雲みたいで、キラキラのしずく】だよ』
1.宝石のついた、赤いバラ
2.月明かりで青く光った、チューリップ
3.しずくのついた、白いタンポポのわたげ
4.つやつやキャンディーみたいな、ピンクのガーベラ
正解は3の「白いタンポポのわたげ」
☆♡☆.゚・*.
「タンポポだ! 白いわたげがふわふわの雲みたいで、あさつゆがキラキラしてる!」
アガットはお城の庭にいき、白いわたげをたくさん集めました。
「これでふわふわのベッドを作ろう」
「姫さま、ぼくにまかせて!」
ポテはスカーフをぶんぶんふります。
「大きくな~れ~!」
でもまちがって、トゲトゲのサボテンを大きくしてしまいました。
「姫さま、ごめんなさい!」
「ポテ、落ちついて。スカーフで元にもどそう」
アガットに言われて、ポテは慌ててスカーフをもう一度ふります。
するとサボテンはしゅるしゅると小さくなりました。
「失敗してもだいじょうぶ。もういちど考えて、直していけばいいんだよ」
アガットはポテの頭をやさしくなでます。
ふたりで協力して、フルール姫の好きな、ふわふわキラキラの花のお部屋がかんせいしました。
☆♡☆.゚・*.
わたげのベッド、黄色い花びらのクッション。
窓からさしこむ光で、あさつゆがキラキラしています。
そんなタンポポだらけのお部屋を見て、フルール姫は大よろこび!
「アガット、ありがとう。こんなにすてきなお部屋はじめて!」
キラキラまぶしいフルール姫の笑顔を見て、アガットはあたたかい気持ちになりました。
アガットとフルール姫はわたげをふーっとふいて、窓からとばしていっしょにあそびます。
おもてなしの心で、ふたりは友達になりました。
「次のお客さまも、笑顔にしたいな」
☆♡☆.゚・*.
お昼をすぎたころ、ふたりめのお客さまが宙を泳ぎながらやってきました。
エメラルド王国のマーメイド、コーデリア。
エメラルドのしっぽと、髪をかざるパールのアクセサリーがキラキラ!
とっても上品でキレイです。
「ようこそ、コーデリア。あなたは海が好きなのかな?」
「もちろんよ。だから私のお部屋を、海の底みたいにしてくださいな」
「うん、まかせて!」
アガットがティアラをトン!とさわると、小さな貝殻がポン!ポン!とたくさん現れました。
これを部屋中にしきつめたら、まるで海の底にいるみたいであざやか。
でもコーデリアはものたりなさそうに、首を横にふります。
「ただの海じゃつまらないわ。ひみつの宝物をおける部屋にしてほしいの」
「ひみつの宝物って、なんだろう?」
「ヒントはこれよ」
コーデリアはゆうがに笑うと、【海の暗号カード】をわたして、泡といっしょに消えていきました。
そこに書かれていたのは……
『わたしの宝物は、波の音が聞こえる。サンゴの森の奥でキラキラ光ってるわ』
「姫さま、魚の形のキラキラクッキーかな?」
「ポテ、ぜったいにちがうってば」
アガットはティアラをトン!とさわります。
でもポンッ!と飛び出してきたのは、白い泡とゴツゴツのサンゴだけ。
コーデリアの宝物とはいえません。
「あ~ん、みんな助けて!」
★迷路:『アガットといっしょに、コーデリアの宝物を見つけよう! 魚と海草をさけながら、キラキラ光ってる場所までたどりついてね』
☆♡☆.゚・*.
「見つけた! うわ~、とってもキレイ!」
サンゴの森の奥にあったのは、キラキラ光る貝殻ランプ。
海にいなくても波音が聞こえる、コーデリアの宝物です。
「これをお部屋にかざるなら、サンゴのたなを作らなきゃね」
「ぼくにまかせて!」
ポテはしっぽをふりふり、スカーフをブンブン広げます。
すると小さかったサンゴが、すくすく成長⁉
「ポテ、やりすぎだよ~。こんなに大きくしたらお部屋にあながあいちゃう」
「姫さま、ごめんなさい。えっと、こういうときは……」
ポテはあわててスカーフをもう一度ふります。
すると天井までのびていたサンゴが、せたけの半分までしゅるしゅる小さくなりました。
「失敗したけど、自分でやり直せたよ」
アガットとポテは協力して、コーデリアの宝物がおける、海の底みたいなお部屋をかんせいさせました。
☆♡☆.゚・*.
エメラルドのかべに、ふわふわの泡のカーペット。
色とりどりのサンゴのたなには、貝殻のランプがキラキラ光っています。
そんな宝物がおかれたお部屋を見て、コーデリアは大よろこび!
「アガット、なんてステキなの! ほんとうに海の底にいるみたいだわ」
幸せそうにほほえむコーデリアを見て、アガットはあたたかい気持ちになりました。
アガットとコーデリアは窓辺にすわって、いっしょに波の音をたのしみます。
おもてなしの心で、ふたりは友達になりました。
「次のお客さまも、笑顔にしたいな」
☆♡☆.゚・*.
日がしずんだころ、さいごのお客さまがやってきました。
星のステージのバレリーナ、スターリー。
七色のドレスと、星のヘアピンがキラキラ!
くるくるおどるすがたは流れ星のようで、うっとりします。
「ようこそ、スターリー。あなたは星が好きなのかな?」
「……」
アガットはいつものように聞いてみるけど、スターリーはなにも言ってくれません。
どうやらとってもシャイな女の子みたいです。
こまりました! これではおもてなしのお部屋が作れません。
アガットがハートのティアラをトン!とさわると、小さな星のかけらがポン!ポン!とたくさん現れました。
これを天井にちりばめたら、天の川みたいでキレイだけど……
そんなに簡単じゃないことは、もうじゅうぶんわかっています。
スターリーの好きなものってなんだろう?
アガットはじっと見つめます。
七色のキラキラの星、クルクルのバレエ。でもそれだけじゃなさそう。
「これはしれん……」
スターリーは【星の暗号カード】をのこして、星くずといっしょに消えてしまいました。
そこに書かれていたのは……
『わたしが好きなのは七色のキラキラ。クルクルおどるとハートになって、夜空にうかぶわ』
「姫さま、星でつくったハート型のクッキーかな?」
「う~ん、たぶんちがうと思うけど……」
アガットはティアラをトン!とさわります。
でもポンッ!と飛び出してきたのは、星のかけらだけ。
これじゃハートにはなりません。
「あ~ん、みんな助けて!」
★クイズ:『アガットといっしょに考えてね! スターリーの好きなものはどれかな? ヒント【七色でキラキラ、くるくるでハートだよ】』
1.キラキラ七色のガラス星
2.くるくるハートの七色キラキラリボン
3.星のキラキラふうせん
4.星のペロペロキャンディー
正解は2の「くるくるハートの七色リボン」
☆♡☆.゚・*.
「ハートの形になるリボンね。とってもカワイイ」
七色に光るリボンは、くるくるおどるように形をかえます。
ハートになったり、リボンになったり。
とってもキレイだけど、これじゃ、おもてなしのお部屋はつくれません。
アガットがこまっていると、スターリーが近づいてきました。
「リボン……ありがとう」
スターリーは小さく笑います。
もっともっと笑顔にしたいのに、アガットはまだ、スターリーの好きが分かりません。
「ねえ、どんな星が好き?」
「……」
やっぱりスターリーは教えてくれません。
「どうすればいいのかな?」
「姫さま、ぼくにまかせて!」
ポテはスカーフをブンブンふりました。
すると星が夜空よりも大きくなって――
バーンと大ばくはつ!
こなごなの星くずになってしまいました。
「うわ~、星のシャワーだ~」
キラキラの星明りはとってもキレイだけど、大失敗。
と、思ったら――。
「アガット……これをつかって」
スターリーが七色リボンをさしだします。
「このリボンで、バラバラになった星をハートにつないでみて」
★点つなぎ:『みんなも手伝ってね! 数字をじゅんばんに線でむすんでいくよ』
☆♡☆.゚・*.
小さな星くずを繋ぎ合わせると、大きなハートになっちゃった!
夜空にうかぶハートの星を、そっとお部屋にはこびます。
やさしい光がキラキラして、リボンがハート型にくるくるおどって。
おだやかでピカピカのお部屋は、スターリーの心みたい。
「アガットありがとう。とてもすてきなお部屋」
大きく口をあけて笑うスターリーを見て、アガットはうれしい気持ちでいっぱいになりました。
そしてスターリーはポテの頭をなでます。
「ポテも……ありがとう」
どうやらポテにも新しい友達ができたみたいです。
☆♡☆.゚・*.
その夜、お城の大ひろまにみんなが集まりました。
花のフルール姫、マーメイドのコーデリア、星のバレリーナスターリー。
アガットとポテもおしゃれをして、さ~パーティーのはじまりです。
アガットの最後のおもてなしは、みんなのために大ひろまをすてきにすること。
タンポポのきらきらシャンデリア、白い泡のふわふわカーペット、かべは七色のリボンと星でピカピカにしました。
これには三人も大よろこび!
「よし、さいごの仕上げ!」
アガットはハート型のティアラをトン!とさわり、ハートの花火をポンッ!
でも小さすぎて、空にあがる前にきえてしまいました。
「う~ん、やっぱり魔法は練習中ね」
失敗しちゃったけど、三人のお客さまはニコニコ。
「アガットの花火、花よりもキレイよ」
フルール姫はおもてなしのお礼に、タンポポのゆびわをプレゼントしてくれました。
「アガットのやさしさは、海の底よりキラキラしてるわ」
コーデリアはすーっと宙を泳いで、貝殻のネックレスを首にかけてくれました。
「アガットの思いやる気もち……一番かがやいてる」
スターリーはくるくるつま先で回りながら、星のブレスレットを渡してくれました。
アガットは三つのおくりものを抱きしめて、あたたかい気持ちになります。
「ありがとう。でもね、みんなの笑顔が最高のおくりものだよ!」
おもてなしの気もちでみんなの心はキラキラ、ふわふわ。
アガットのお部屋づくりはだ大せいこうです。
☆♡☆.゚・*.
パーティのあと、アガットとポテは自分の部屋にもどりました。
「ポテ、お部屋づくり楽しかったね」
「姫さま、こんどはカリカリクッキーのお部屋がいいな」
キラキラお目めでしっぽふりふりのポテに、アガットは大きく笑いました。
「うん! 次はポテをおもてなしするね!」
『あなただったら、どんなお部屋にする?』
『みんなも、おもてなしで、だれかをキラキラの笑顔にさせてね』
《Fin》