落ちこぼれ見習い聖女は、なぜかクールな騎士様に溺愛されています?〜これ以上、甘やかされても困ります〜
33 夢のような夜会(1)
何もかもが非現実的で、本当は全部夢なんじゃないかと思えてくる。
王宮に向かう馬車に揺られながら、正面に座っているライオネル様をチラリと窺うと目が合った。
「ん? どうした?」
「あ、その……。元気なお姿が見られて安心しました」
「あぁ。……君が治療してくれなかったら、今の俺はなかった。本当に感謝している……」
そう言ったライオネル様は私に向かって頭を下げる。
「えっ、そんなっ、頭を上げてくださいっ」
私は焦って両手を振る。
「実は君の魔法のお陰で、この間の怪我だけでなく八年前の傷も全て完治したんだ」
「え、そうなんですか!? それは良かったです!」
彼がもう傷跡の後遺症に苦しむことがないと知り安堵する。
神聖魔法や、覚醒とか言われ、正直重圧を感じていたが、私は初めて自分の魔力に感謝したくなった。
「俺はずっと過去に囚われていたんだろう。母を犠牲にして生き残ったのだから、この国や家族の為に命を落とすのは本望だと思っていた。しかし、大切なものを守り続けるには、生き抜かなければといけないと気付いたんだ」
そう話すライオネル様の表情はとても明るくて、なにか吹っ切れたようだった。
「君には助けられてばかりいるな……」
「そんな! それは私の方ですよ! 危ない時はいつも助けてくださって、迷惑ばかりかけてますし。それに今日もパートナーに誘ってくださったり……。誰もいなかったので助かりました」
最初からライオネル様以外とは考えられなかったが、女性の方から直接誘ってはいけないらしく、大聖女様を通じてお願いしてみようと考えていたところだった。
「そうか。俺も必要に迫られた時以外は参加せず、王宮の警備に当たるのが常だったんだが」
そうだったんだ。普段はあまり参加しないようだけど、他にパートナーに誘いたい方はいなかったのかな?
王宮に向かう馬車に揺られながら、正面に座っているライオネル様をチラリと窺うと目が合った。
「ん? どうした?」
「あ、その……。元気なお姿が見られて安心しました」
「あぁ。……君が治療してくれなかったら、今の俺はなかった。本当に感謝している……」
そう言ったライオネル様は私に向かって頭を下げる。
「えっ、そんなっ、頭を上げてくださいっ」
私は焦って両手を振る。
「実は君の魔法のお陰で、この間の怪我だけでなく八年前の傷も全て完治したんだ」
「え、そうなんですか!? それは良かったです!」
彼がもう傷跡の後遺症に苦しむことがないと知り安堵する。
神聖魔法や、覚醒とか言われ、正直重圧を感じていたが、私は初めて自分の魔力に感謝したくなった。
「俺はずっと過去に囚われていたんだろう。母を犠牲にして生き残ったのだから、この国や家族の為に命を落とすのは本望だと思っていた。しかし、大切なものを守り続けるには、生き抜かなければといけないと気付いたんだ」
そう話すライオネル様の表情はとても明るくて、なにか吹っ切れたようだった。
「君には助けられてばかりいるな……」
「そんな! それは私の方ですよ! 危ない時はいつも助けてくださって、迷惑ばかりかけてますし。それに今日もパートナーに誘ってくださったり……。誰もいなかったので助かりました」
最初からライオネル様以外とは考えられなかったが、女性の方から直接誘ってはいけないらしく、大聖女様を通じてお願いしてみようと考えていたところだった。
「そうか。俺も必要に迫られた時以外は参加せず、王宮の警備に当たるのが常だったんだが」
そうだったんだ。普段はあまり参加しないようだけど、他にパートナーに誘いたい方はいなかったのかな?