落ちこぼれ見習い聖女は、なぜかクールな騎士様に溺愛されています?〜これ以上、甘やかされても困ります〜

11 ライオネル様の不調

「えっと、買うものはこれで終わりですね」

 市場で買い物を終え、ハンナさんから渡された買い物リストを確認する。

「そうか。じゃあ戻ろう」

 ライオネル様は買い物の籠を持ってくれた。

「はい。ありがとうございます」


 神殿への帰り道、隣を歩くライオネル様をチラチラと窺っていた。
 なんだろう。その横顔はいつものように美しいけど、どこか違和感を覚えた。
 気のせいかな……?
 そう思って正面を向き直した時、

「……くっ」

 急にうめき声のようなものが聞こえて振り返る。さっきまで隣を歩いていたライオネル様が座り込んでいた。私は慌てて駆け寄る。

「え、ライオネル様!? 大丈夫ですか!?」

 ライオネル様の呼吸は荒く、顔を歪めている。額には汗が滲んでいた。

 とても具合いが悪そうだわ。神殿で治療した方がいいけど、まだ距離がある。誰か呼んで来たほうがいいかな? でもこんな状態の彼を置いていくのは心配だ。だったら、回復するかわからないけど私が回復魔法をかけてから、一緒に神殿に向かった方がいいかもしれない。

「あちらで少し休みましょう。歩けますか? 私につかまって下さい」

「いや……、だい、じょ……ぶ……だ」

 ライオネル様が消え入りそうな声で答える。全然大丈夫そうじゃないよ。

「すみません、ちょっと触りますよ」

 私はライオネル様の腕を引き、少しに強引に肩に担いだ。
 身長差があってバランスが悪く、彼の体重が肩に伸し掛かると重さでよろけそうになったが、どうにか持ちこたえる。
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