落ちこぼれ見習い聖女は、なぜかクールな騎士様に溺愛されています?〜これ以上、甘やかされても困ります〜

13 魔術師のアンディさん

「やぁ。こんにちは。君がアイリスちゃんかな〜?」

 魔伝言鳩をライオネル様に飛ばした後、神殿の裏門で待っていると、黒地に模様が入ったローブ姿の二十歳くらいの青年に声を掛けられた。

「え? えっと……、その……」

 なんで名前を知ってるの? ちょっと怖い……。
 私は警戒して後ずさる。

「あー、ごめんごめん。そんな警戒しないで。怪しい者じゃないよ〜。ライオネルから頼まれたんだ」

「ライオネル様ですか!?」

「そ。護衛の代理?」

 そういえば、来られない時は代わりの人をよこすと言っていたことを思い出した。

「あっ、そうなんですね! 失礼な態度をしてすみませんでした。アイリスです。よろしくお願いします」

 私は深々とお辞儀をした。

「いいよいいよ。気にしないで〜。今王都内も危ないから、それくらい警戒した方がいいからね〜」

 そう言って片手をひらひら振りながら、人懐こい笑顔を見せてくれる。顔にかかる癖のある柔らかそうなブロンズの髪が風に揺れた。

 でも護衛をしてくれるっていうけど、この人騎士様じゃないよね……? ローブ羽織ってるし。この服装って、魔術師の方……?

「俺はね、アンディ・ミルズ。見ての通り魔術師さ。主に魔道具の開発をしてるよ。ライオネルとは幼馴染なんだ〜」

 ライオネル様の幼馴染……。クールなライオネル様とは正反対の陽気な雰囲気な人だと思った。

「まぁ護衛するのは初めてだし、正直戦闘向きじゃないんだけど。でも、こう見えてその辺の奴らより相当強いから、安心して?」

「はい! ミルズ様、ありがとうございます」

「あ、アンディでいいよ〜。堅苦しいのは好きじゃないんだ」

「じゃあ、アンディさん……でいいですか?」

「まぁ呼び捨てでもいいんだけど、強要するつもりもないし好きに呼んで」

「はい、わかりました」

「ん。じゃ行こっか。市場でいいんだよね〜?」

「はい。よろしくお願いします」

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