落ちこぼれ見習い聖女は、なぜかクールな騎士様に溺愛されています?〜これ以上、甘やかされても困ります〜
18 王立魔術師団研究所(1)
夜、湯浴みを終えて自室に戻ってくると、頭上で白い鳥が旋回している。
これは魔伝言鳩だ。飛ばすことはあっても受け取ることはなかったので、私は初めての光景にしばらくぼーっと眺めていた。
両手のひらを広げると魔伝言鳩はそこにゆっくりと羽を休める。
「えっと、たしか伝言を聞く時はくちばしを突っつくのよね……? こうかな?」
ちょんと指で突っつくと魔伝言鳩は仄かに光り、くちばしをパクパクと動かした。
『ライオネルだ』
「え、ライオネル様!?」
『突然すまない。明日君は非番なんだろう? 少し時間をくれないだろうか? 君を連れて行きたい場所があるんだ』
伝言を聞きながら、私の震えが止まらなかった。
魔伝言鳩は受け取った人にしか聞こえない仕組みになっているらしいけど、こんな、こんな、耳元で囁かれるみたいに聞こえるの〜!? 動悸が、息切れがっ。
私は耳を掴みながら身悶えていた。
「はぁ、死にそう……。じゃなくて、連れて行きたい場所? どこだろ?」
見当もつかなかったが、ライオネル様の誘いを断る理由はない。私は『承知しました』と返事をして魔伝言鳩を飛ばした。
その夜私は、ライオネル様からの伝言を何度も繰り返し聞いたのだった。
✩ ✩ ✩
「ここですか……?」
王都の中心部からだいぶ郊外へ来たところで馬車を降り、そびえ立つ石積みの塀を見上げた。
「あぁ、王立魔術師団の研究所だ」
「ここが魔術師団の研究所……」
これは魔伝言鳩だ。飛ばすことはあっても受け取ることはなかったので、私は初めての光景にしばらくぼーっと眺めていた。
両手のひらを広げると魔伝言鳩はそこにゆっくりと羽を休める。
「えっと、たしか伝言を聞く時はくちばしを突っつくのよね……? こうかな?」
ちょんと指で突っつくと魔伝言鳩は仄かに光り、くちばしをパクパクと動かした。
『ライオネルだ』
「え、ライオネル様!?」
『突然すまない。明日君は非番なんだろう? 少し時間をくれないだろうか? 君を連れて行きたい場所があるんだ』
伝言を聞きながら、私の震えが止まらなかった。
魔伝言鳩は受け取った人にしか聞こえない仕組みになっているらしいけど、こんな、こんな、耳元で囁かれるみたいに聞こえるの〜!? 動悸が、息切れがっ。
私は耳を掴みながら身悶えていた。
「はぁ、死にそう……。じゃなくて、連れて行きたい場所? どこだろ?」
見当もつかなかったが、ライオネル様の誘いを断る理由はない。私は『承知しました』と返事をして魔伝言鳩を飛ばした。
その夜私は、ライオネル様からの伝言を何度も繰り返し聞いたのだった。
✩ ✩ ✩
「ここですか……?」
王都の中心部からだいぶ郊外へ来たところで馬車を降り、そびえ立つ石積みの塀を見上げた。
「あぁ、王立魔術師団の研究所だ」
「ここが魔術師団の研究所……」