落ちこぼれ見習い聖女は、なぜかクールな騎士様に溺愛されています?〜これ以上、甘やかされても困ります〜

21 魔力量

 ライオネル様に色々と打ち明けたせいか、気分が物凄く晴れている。こんな心が軽いのは久しぶりだった。
 

 私は魔力強化訓練の為に、 フェリシティ様と〈魔法訓練の間〉に来ていた。
 手のひらに魔力を集中させ聖魔石に注ぎ込むと、透明な石は白く輝き始める。

「はぁ、はぁ……、はぁ」

 私は力を出し切り、ヘタリとその場に座り込む。聖魔石の輝きは半分は優に超えている。
 やった。結構魔力が増えてるわ! 実践練習の成果が出たのかもしれない。

「フェリシティ様、どうでしょうか?」

 私は訓練を手伝ってくれているフェリシティ様に声をかけた。

「……」

 返事が無かったのでフェリシティ様の方に振り返ると、彼女の顔が硬直しているように見えた。

「フェリシティ様?」

「え? あ、あぁ、そうね。六……割……といったところかしら。すごいわ」

 フェリシティ様はいつも通りの柔和な笑顔で、聖魔石を調べてくれた。

「六割ですか!? ありがとうございます」

 目標まであと少しだわ。私は喜びで顔が緩んでしまう。

「でもこの魔力量、急にどうしたの?」

「えっと、それは、自主訓練を増やしまして」

 ライオネル様の治療で実践練習しているとは言えなかった。二人が元婚約者だっていうのもあるけど、誰にも言いたくない。秘密にしたいと思った。

「そう、自主訓練ね……。偉いわ。身体の調子はどう? 大丈夫?」

 まだ座り込んでいる私にフェリシティ様は心配してくれているようだ。

「そうですね……、まだちょっと力が入らなくて」

「わかったわ。じゃあ今からたっぷりと回復魔法をかけてあげるわ」
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