落ちこぼれ見習い聖女は、なぜかクールな騎士様に溺愛されています?〜これ以上、甘やかされても困ります〜

23 アイリスの魔法(2)

「どうぞ、気にせず座ってくれ」

「はい」

 私は再びソファーに腰を下ろす。団長様は静かに座っていたライオネル様に声をかけた。

「お、ライオネルも久しいな。元気にやってるか?」

「はい。レナード団長もお元気そうで何よりです」

「おう。騎士団の方も忙しいと思うが、たまには顔を見せに来たって良かったんだぞ」

「そうですね……。別段用事も無かったもので」

「お前なぁ、淋しいことを言うなよ〜」

 二人のやり取りを見ていて思い出した。そういえばライオネル様の魔術の先生って、アンディさんの叔父様だったよね。つまり団長様ってことなんだ。ライオネル様の表情もどことなく嬉しそうに見える。

「それよりもレナード団長、早く説明をお願いします」

「ぐうぅ、ライオネル、冷たいぞぉ……。わかった、話そう」

 ライオネル様が冷たくあしらうので、団長様は泣き真似をしながらアンディさんの横に腰を下ろした。

「魔力抑制魔法というのは文字通り、魔力を抑制させる魔法だ。その魔法をかけると魔力が制限され、本来の魔力量は使えなくなる。それがお嬢さんにかけられている可能性があるわけだ」

「え、そうなんですか? 自分ではよく分からないのですが……」

 魔力はずっと少なかったけど、特に魔法にかかってるような自覚症状は無かった。どこでこの魔法がかかったのかも記憶にない。

「その魔力抑制魔法は気付かないうちにかけられたりするものなんですか?」

「あぁ、可能だな」

団長様は神妙な面持ちで頷いてから、ビスケットを取りボリボリと食べ始めた。

「あ〜、それ、アイリスちゃんの為に作ったやつ〜」
 
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