赤いフードの偽物姫と黒いフードの人外陛下〜敗戦したので売国しに乗り込んだら、何故か溺愛生活始まりました〜
80.偽物姫と告知。
「これはまた、随分埃が。……って、王城の宝物庫まで荒らしたの!?」
うわぁ、とドン引きレベルの悪事の数々が並んおり、死の霧もこの時流出したのだと知る。
が、公爵の能力を知っているだけに事がスムーズに進み悪事が順調に積み上がりすぎている点に違和感を覚えた私に、
「ついでだから大掃除しようと思って」
頬杖をつき可愛い顔でそんなことを宣った。
「相変わらず、えげつない」
「あら嫌だ。私は餌を撒いただけよ? 勝手に引っかかったのはあっちでしょ」
宝物庫が開いているからといって勝手に入っちゃいけないのよ? と言った天色の瞳は笑ってなどおらず、
「我が国と敵対するモノに情け容赦などかける理由はない。誰一人逃さないわよ」
為政者として冷たく処断を下す。
「ふふっ、やっぱりベラはこうでなくっちゃ」
「あら、もっと褒めてくれていいのよ♪」
ドヤっと胸を張り軽口を叩くイザベラ。
「とはいえ、困っていたのも確かよ。まさか公爵家の後ろにそんなヤバい組織がついているとは思わなかったし」
トスっと私の方に寄りかかり、
「でも、帝国の皇帝陛下が味方なら心強いわ。せっかく味方を得たのだし、帝国にはこれを機に大いにクローゼアに恩を売ってもらいましょうか♪」
ふふふっと黒い笑みを浮かべるイザベラの顔にははっきりと"逃さないわよ"と書いてあった。
「ふふ、やっぱりベラはセルヴィス様に似てるわ」
きっと気が合うと思うと二人が並んだ所を想像し、思わず笑みが溢れた私に、
「まぁ、リィルったら。もしかしてそれでセルヴィス様が好きになっちゃったの? このシスコンめっ」
愛やつと揶揄うイザベラ。
「なっ、ちがっ!……それに、本来ならセルヴィス様はベラの旦那様だし」
人様の旦那様に恋心なんて、と必死に否定する私だが。
「いや、旦那様って言われても会った事ないし。それに、どうせもうすぐ離縁することになるし」
別に気にしなくていいのに、とイザベラはイヤイヤと手を振る。
「えっ?」
驚く私にイザベラはとあるページを指す。
そこには敗戦の代償に充てるものが綴られていた。
「……自治権を手放す気、だったの?」
「クローゼアを国ではない形で再建するならトップは国王の血縁でない方がいい」
そうなればイザベラに人質の価値はない、と天色の瞳は淡々と終わりを見据えていて。
「帝国は元々多くの国を飲み込んで大きくなった多民族国家。だったらそこにクローゼアも混ぜてもらえばいいと思うの」
その顔はカルーテの終わりを選んだ時の話をしてくれたお母様によく似ていた。
うわぁ、とドン引きレベルの悪事の数々が並んおり、死の霧もこの時流出したのだと知る。
が、公爵の能力を知っているだけに事がスムーズに進み悪事が順調に積み上がりすぎている点に違和感を覚えた私に、
「ついでだから大掃除しようと思って」
頬杖をつき可愛い顔でそんなことを宣った。
「相変わらず、えげつない」
「あら嫌だ。私は餌を撒いただけよ? 勝手に引っかかったのはあっちでしょ」
宝物庫が開いているからといって勝手に入っちゃいけないのよ? と言った天色の瞳は笑ってなどおらず、
「我が国と敵対するモノに情け容赦などかける理由はない。誰一人逃さないわよ」
為政者として冷たく処断を下す。
「ふふっ、やっぱりベラはこうでなくっちゃ」
「あら、もっと褒めてくれていいのよ♪」
ドヤっと胸を張り軽口を叩くイザベラ。
「とはいえ、困っていたのも確かよ。まさか公爵家の後ろにそんなヤバい組織がついているとは思わなかったし」
トスっと私の方に寄りかかり、
「でも、帝国の皇帝陛下が味方なら心強いわ。せっかく味方を得たのだし、帝国にはこれを機に大いにクローゼアに恩を売ってもらいましょうか♪」
ふふふっと黒い笑みを浮かべるイザベラの顔にははっきりと"逃さないわよ"と書いてあった。
「ふふ、やっぱりベラはセルヴィス様に似てるわ」
きっと気が合うと思うと二人が並んだ所を想像し、思わず笑みが溢れた私に、
「まぁ、リィルったら。もしかしてそれでセルヴィス様が好きになっちゃったの? このシスコンめっ」
愛やつと揶揄うイザベラ。
「なっ、ちがっ!……それに、本来ならセルヴィス様はベラの旦那様だし」
人様の旦那様に恋心なんて、と必死に否定する私だが。
「いや、旦那様って言われても会った事ないし。それに、どうせもうすぐ離縁することになるし」
別に気にしなくていいのに、とイザベラはイヤイヤと手を振る。
「えっ?」
驚く私にイザベラはとあるページを指す。
そこには敗戦の代償に充てるものが綴られていた。
「……自治権を手放す気、だったの?」
「クローゼアを国ではない形で再建するならトップは国王の血縁でない方がいい」
そうなればイザベラに人質の価値はない、と天色の瞳は淡々と終わりを見据えていて。
「帝国は元々多くの国を飲み込んで大きくなった多民族国家。だったらそこにクローゼアも混ぜてもらえばいいと思うの」
その顔はカルーテの終わりを選んだ時の話をしてくれたお母様によく似ていた。