叶わぬロマンティックに終止符を
2
◻︎
高二の夏休み。わたしを優等生と信じて疑わない先生から、なんとなく所属していた環境委員会の仕事を頼まれた。夏休み中の無意味な出校日は憂鬱を呼び寄せた。
「あ〜だっる!」
「めんどくさ〜!」
教室に入ってきた彼と、すでに座っていたわたしの声はほぼ同時に発せられた。その後、「え?」と困惑を乗せた声を放ったのも同時だった。
これがわたしたちの出会い。となりのクラスの彼──日永 柊とは、委員会の雑務を押し付けられたという不運がきっかけで話すようになった。
窓際一番前に座っていたわたしの隣に腰を落とした彼。背負っていたリュックを床に雑に置いて、机の上に頬杖をつきながらわたしに視線を預けてきた。その一連の流れは、わたしが噂でよく聞く日永くんとは程遠かった。
「だるいとか言うんだね、日永くん」
「あ? それはこっちのセリフだよ。めんどくさいなんて言うんだ、かなんちゃん」
たっぷりはちみつを溶かしたような甘い顔立ち。ダークブラウンの双眸が揺らめいた。