ひまわりみたいなあなたにもう一度恋をする~再会したのは元不良の同級生~
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「姉ちゃん?会社でなんかあったの?」
大悟から尋ねられた美織は、ハッと我に返った。よほど浮かない表情で椅子に座っていたのだろう。
気を利かせた大悟はハーブティーを入れたマグカップをダイニングテーブルに置いてくれる。
そして、美織と向かい合うようにして椅子に座った。
「なんか悩みでもあんの?」
「ううん。なんでもない」
毎日一緒に過ごしていると、わずかな変化も感じ取れるようになるらしい。
大悟は父親のいない家庭環境で育ったせいか、昔から母と美織の一挙一動に敏感だった。
この期に及んで平静を装おうとする美織に呆れ気味に詰め寄る。
「姉ちゃんはもっとワガママになってもいいと思う。今も昔も、自分のことより他人のことばっか考えてさ。嫌なら嫌、無理なら無理ってはっきり言ってもいいんだぜ」
「ありがと、大悟」
自分の弟と思えないほどしっかり者に育った大悟を誇らしく思う。
(あまり余計な心配をかけたくないんだけどな)
大悟の思いやりに感謝しつつ、美織はハーブティーの爽やかな甘みに心癒されるのだった。