マロプリ!!〜マジカルロジカルプリンセス〜

強盗団!?

「マナちゃん! ボクはマナちゃんが心配らに~」
 らにちゃんに頼んで元の姿に戻してもらったわたしは、自分の部屋で今夜の作戦会議をしていた。
「これまでのことを整理するわ。らにちゃん、マジカルロジカルプリンセスってなんなの? あれはどんな技術?」
「ボクにもわからないらに。ただ、ボクにプログラムされていただけなんだらに」
 何回聞いても同じ答え。わかっていることと言えば、あの姿にはらにちゃんの力でなれるということと悪さをしているロボットを元に戻して友達になれるということだわ。

 手の中に真っ赤に燃えるような宝石が確かにある。夢じゃないんだよね。
「あ~あ、ママが生きていたらいろいろ相談できたんだけどな」
「愛花! 夕飯の支度が出来たよ!」
 パパの声だ。
 もう夕飯の時間なのか。
 今夜宝石店を襲うロボットを捕まえるなんて楽しそう!
 ただ、パパは絶対に反対するだろうけれどね。わたしも危ないと思うし。
「あれ?」
 階段を下りてみると、テーブルにはわたしの分のお料理しか並んでいなかったの。
「今日は山田さんの牧場で馬の赤ちゃんが産まれるんだ。だから泊まりがけになるけど、愛花はちゃんとお留守番ができるかい? 寂しかったらパパのスマホに電話をしてくれればすぐに出るからね。あ、そうだ、おじいちゃんかおばあちゃんを呼ぼうか?」
 そうか、赤ちゃんが産まれるんだね。それにしても、パパったらいつまでもわたしを子供扱いしてる。
 うちはママがいないしパパも忙しい。だから、ひとりで留守番をすることは他の子よりも多いと思う。小さい頃はとっても寂しかった。
 わたしが子どもの頃にらにちゃんを開発したのだって、ロボットが好きなだけではなく、ひとりでいることが寂しいからっていう理由もあるんだよね。

⭐︎パズルを解いてらにちゃんを作ろう!小さい頃のマナちゃんと開発途中のらにちゃんの絵⭐︎

「山田さんの牧場は車ですぐでしょ。わたしも行ったこともあるし、平気よ。それに、わたしはもう5年生なんだよ。いつまでも子供じゃないもん」
「うぅぅっ、愛花は本当に大きくなったんだな、嬉しいような寂しいような」
「そういえばさ、マジカルロジカルプリンセスって何か知っていたら教えて欲しいんだけど」
 椅子に座ってパパの作ったやたらと具が大きなカレーライスをスプーンで口に運んだ。パパが出かける時は大抵カレー。お腹が空いたらわたしが温めて簡単に食べれるよう、カレーにしてくれているらしいけれど……単にパパの好物のような気もする。
「プリンセス? 学校で流行ってるのかい? 化粧ならパパはまだ早いと思うぞ。そんなことしなくたって愛花はママの娘だから美人になる! 保障するぞ!! おまけに動物好きで今日はネコをひろってきたな! パパに似て嬉しいぞ!」
 ネコじゃなくてネコ型のロボットなんだけれどな。ま、いいか。
「ニャーちゃんのことは飼うことを許可してくれてありがとう」
 パパなら何かを知っていると思ったんだけどな。
「パパ、それより、お仕事がんばってね。元気な赤ちゃんが産まれるの楽しみにしているんだから」
「うん! 仕事のことは任せておきなさい!」
 パパったらお薬や注射器の入った仕事用の鞄をトランクに詰め込んだら、白衣のまま車に乗り込んでしまった。
「獣医さんってかっこいいよね」
「そうらにね。マナちゃんはみんなに優しいから獣医さんも似合うらに!」
「う~ん、でも勉強はあんまり得意じゃないんだよね」
「ニャニ柄にもなく落ち込んでるニャ」
 ニャーちゃんが足にまとまわりついてきた。もふもふの長い毛をした猫ロボット。汚れたモップみたいだったニャーちゃん。変身を解いたわたしは連れ帰ってすぐにペット用シャンプーでニャーちゃんを洗ってあげた。そしたら見違えるようにキュートになったんだよね!
「えへへっ、なぐさめてくれるんだ~なによ! いいやつじゃん。ニャーちゃんありがとう」
「ニャ! 抱きつくニャ!」

 一人と二匹、リビングでくつろいでいると夜の7時になった。習い事をしている子はこのくらい遅くまで勉強をしているみたい。同い年なのになんだかとっても大人な感じよね。
 こんな時間にお出かけするのは怖いような楽しみなような、ちょっと不思議な感じ。まるで大人になったみたい。
「今回は最初からマジカルロジカルプリンセスになろうと思うの」
「マナちゃん、やる気全開らにね! わかったらに! 呪文を唱えるらに」
「OK! マジカルロジカル! おしゃれになーれっ!!」
 らにちゃんが輝くと光の粒がわたしに巻き付いておしゃれなドレスに大変身!
 うんうん、最初は恥ずかしかったけれど、この格好わりと好きかも。わたしって小さな頃から女の子向けの正義の味方が活躍するアニメを観て憧れていたからね。
「もしもし、警察ですけれど。四色愛花さんはいますか?」
 インターホンからする声は学校で会ったお姉さんの声だ。
「よーし、出かけるわよ! ニャーちゃんはお留守番をお願いね!」
「言われなくてもそれがオレの仕事ニャ。元は人間を癒し、家に入り込む泥棒を撃退するロボットだったからニャ」
「おお、頼もしいわね」
 わたしはメモに鉛筆。それに街の地図とお菓子の飴玉、ハンカチ、それに絆創膏を、いつか使おうと思って買ったコスメポーチに入れた。あと念のため防犯ブザーも。

⭐︎コスメポーチの中にぴったり入るように道具を入れてみよう(パズル、マス目になっていて、うまくはめ込むパズル)⭐︎

「なんだかワクワクするね」
 夜のピクニックみたいでちょっぴり楽しい。夜の街って、昼間とは全く違うのね。自動車の音もないし、とっても静か。この辺が住宅街だからっていうのもあるんだろうけれど。
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