長すぎた春に、別れを告げたら
しばらく俺のマンションで暮らしませんか?
あれから十日。
治久から毎日のように電話がかかってきて、頻繁にメッセージが届いている。
私がほかの人と付き合うことになったと思っているはずなのに、どうしてあきらめてくれないのだろう。
治久が今なにを考えているのかわからず、もやもやした。
「聞いて、萌歌。相良さんって訪問日にうちの監査チームとランチに行くでしょ? 来月のランチに、私も混ぜてもらえることになったの! お近づきになれるチャンス!」
希帆さんが満面の笑みを浮かべてフリーアドレスデスクにやって来た。
十日前の相良さんとの出来事は、誰にも話していない。
彼には彼女がいるみたいだと言ったら、きっとがっかりするだろう。
「そうなんですね」
「希帆さん、いいなー」
私の隣で雫ちゃんが希帆さんをうらやましがる。
「雫ちゃんも参加する?」
「いいんですか?」
「もちろん。萌歌はどうする?」
希帆さんに尋ねられて首を横に振る。
「私は遠慮しておきます」
「萌歌は相良さんに傘を貸して一歩リードしてるのにもったいないなあ。今の時代、女にも積極性が必要よ」
治久から毎日のように電話がかかってきて、頻繁にメッセージが届いている。
私がほかの人と付き合うことになったと思っているはずなのに、どうしてあきらめてくれないのだろう。
治久が今なにを考えているのかわからず、もやもやした。
「聞いて、萌歌。相良さんって訪問日にうちの監査チームとランチに行くでしょ? 来月のランチに、私も混ぜてもらえることになったの! お近づきになれるチャンス!」
希帆さんが満面の笑みを浮かべてフリーアドレスデスクにやって来た。
十日前の相良さんとの出来事は、誰にも話していない。
彼には彼女がいるみたいだと言ったら、きっとがっかりするだろう。
「そうなんですね」
「希帆さん、いいなー」
私の隣で雫ちゃんが希帆さんをうらやましがる。
「雫ちゃんも参加する?」
「いいんですか?」
「もちろん。萌歌はどうする?」
希帆さんに尋ねられて首を横に振る。
「私は遠慮しておきます」
「萌歌は相良さんに傘を貸して一歩リードしてるのにもったいないなあ。今の時代、女にも積極性が必要よ」