エナはマーメイドの仕立屋さん~はじめてのお仕事はプリンセスのドレス~
⑫
次の日になりました。
この国の10歳になるプリンセス、ナナのお披露目パーティーがはじまります。
おばあちゃんがつくってくれた黄色のすてきなドレスを着て、エナは城の門をくぐりました。
今日は誰でもお城の大広間に入ることができます。
大広間へ続く廊下も人魚たちであふれています。
守りの騎士たちや黒服の人魚たちもいっぱいいます。
エナはレクシーをつれて緊張しながら大広間に入りました。
きらびやかな装飾で天井も高いです。
海の中なのにぜんぜん暗くないし、泳いでいる魚たちもその装飾の一部のようです。
「わぁ、きれい……」
こんなに広い建物を見るのはエナははじめてでした。
思わず、見入ってしまいます。
そんなときです。
まわりから「わぁああ」という歓声が上がりました。
大きな拍手も聞こえます。
エナが視線を前に向けると、王様と女王様、そしてお姫様、つまりプリンセスであるナナが一段上がったところに登場したのが見えました。
ナナはエナがつくったドレスを着てくれています。
でも、なんだか、とても緊張して暗い顔をしています。
笑顔になってほしいのに、エナはナナが心配になります。
「みなさん、お集まりいただきありがとう」
王様が話をはじめました。
「国民のみなさんにはいつも感謝している。そんなみなさんに今日は私の10歳の娘、プリンセス、ナナを紹介したいと思う」
王様の言葉にまわりの人魚たちが盛大な拍手を送ります。
ついにナナの出番です。
ナナはもじもじとしながら、ふんわりと前に立ちました。
エナはナナのことをたくさんの人魚たちの中からジッと見つめます。
「ごきげんよう、みなさん。今日はわたしのために集まっていただき、ありがとうございます。わたしは……」
顔を上げてなんとか話しはじめたナナでしたが、そこで言葉が止まってしまいました。
自信がないようにしょんぼりとしてしまっています。
エナがドレスに魔法をかけたのに、どうしたのでしょうか。
ざわざわと大広間の中が騒がしくなってきました。
(ナナ……がんばって……、わたしもレクシーもいるよ)
本当はナナを勇気づけるために手を振ったり、声を上げたりしたかったのですが、ナナのお披露目会でそんなふうに目立つことはできません。
エナは心の中で強く願いました。
すると、自分のドレスが一瞬輝いたように見えました。
(そうだ、このドレスはおばあちゃんがこのドレスを着た人を輝かせる魔法をかけていたんだ)
エナのドレスが光ったことに気付いたのか、ナナがエナのほうを見ました。
ナナがエナとレクシーに気が付いたのです。
(ドレスよ、ナナに勇気を与えて……)
エナはナナに向かってニコッと微笑みました。
それから小さくガッツポーズをしました。
ナナがふっと笑ったのが分かります。
キラリとナナの貝殻が光った気がしました。
「失礼しました。わたしはこの国のプリンセスとして、みなさんのためにがんばっていきたいと思います。これからはたくさん外にも出て、みなさんに仲良くしてもらえたらと思います。まだまだ未熟なプリンセスですが、よろしくおねがいします」
それは明るく真っ直ぐなスピーチでした。
人魚たちがたくさんの拍手をナナに送っています。
エナも一緒にナナに拍手を送りました。
ナナのスピーチは上手くいったのです。
とてもすてきなお披露目パーティーでした。
この国の10歳になるプリンセス、ナナのお披露目パーティーがはじまります。
おばあちゃんがつくってくれた黄色のすてきなドレスを着て、エナは城の門をくぐりました。
今日は誰でもお城の大広間に入ることができます。
大広間へ続く廊下も人魚たちであふれています。
守りの騎士たちや黒服の人魚たちもいっぱいいます。
エナはレクシーをつれて緊張しながら大広間に入りました。
きらびやかな装飾で天井も高いです。
海の中なのにぜんぜん暗くないし、泳いでいる魚たちもその装飾の一部のようです。
「わぁ、きれい……」
こんなに広い建物を見るのはエナははじめてでした。
思わず、見入ってしまいます。
そんなときです。
まわりから「わぁああ」という歓声が上がりました。
大きな拍手も聞こえます。
エナが視線を前に向けると、王様と女王様、そしてお姫様、つまりプリンセスであるナナが一段上がったところに登場したのが見えました。
ナナはエナがつくったドレスを着てくれています。
でも、なんだか、とても緊張して暗い顔をしています。
笑顔になってほしいのに、エナはナナが心配になります。
「みなさん、お集まりいただきありがとう」
王様が話をはじめました。
「国民のみなさんにはいつも感謝している。そんなみなさんに今日は私の10歳の娘、プリンセス、ナナを紹介したいと思う」
王様の言葉にまわりの人魚たちが盛大な拍手を送ります。
ついにナナの出番です。
ナナはもじもじとしながら、ふんわりと前に立ちました。
エナはナナのことをたくさんの人魚たちの中からジッと見つめます。
「ごきげんよう、みなさん。今日はわたしのために集まっていただき、ありがとうございます。わたしは……」
顔を上げてなんとか話しはじめたナナでしたが、そこで言葉が止まってしまいました。
自信がないようにしょんぼりとしてしまっています。
エナがドレスに魔法をかけたのに、どうしたのでしょうか。
ざわざわと大広間の中が騒がしくなってきました。
(ナナ……がんばって……、わたしもレクシーもいるよ)
本当はナナを勇気づけるために手を振ったり、声を上げたりしたかったのですが、ナナのお披露目会でそんなふうに目立つことはできません。
エナは心の中で強く願いました。
すると、自分のドレスが一瞬輝いたように見えました。
(そうだ、このドレスはおばあちゃんがこのドレスを着た人を輝かせる魔法をかけていたんだ)
エナのドレスが光ったことに気付いたのか、ナナがエナのほうを見ました。
ナナがエナとレクシーに気が付いたのです。
(ドレスよ、ナナに勇気を与えて……)
エナはナナに向かってニコッと微笑みました。
それから小さくガッツポーズをしました。
ナナがふっと笑ったのが分かります。
キラリとナナの貝殻が光った気がしました。
「失礼しました。わたしはこの国のプリンセスとして、みなさんのためにがんばっていきたいと思います。これからはたくさん外にも出て、みなさんに仲良くしてもらえたらと思います。まだまだ未熟なプリンセスですが、よろしくおねがいします」
それは明るく真っ直ぐなスピーチでした。
人魚たちがたくさんの拍手をナナに送っています。
エナも一緒にナナに拍手を送りました。
ナナのスピーチは上手くいったのです。
とてもすてきなお披露目パーティーでした。