社長、社内恋愛は禁止のはずですが

第5章 信じられるのは、あなたひとり

そして翌週。

私はついに、新プロジェクトの第一稿を完成させた。

「……できた。」

机に置いたファイルを見つめる。

今の自分にできる最高の企画。妥協は一切していない。

「高峰社長、できました。」

緊張で声が震えながらも、私は直哉さんにそのファイルを差し出した。

「うん、ありがとう。」

彼はすぐに受け取り、渡したその場でページを繰り始める。

目を細めて真剣に読み込む姿に、胸が高鳴る。

「……いいね。よくここまでまとめたな。これを会議にかけてみるよ。」

「はい!」

心からの言葉に、肩の力が抜けていく。

認めてもらえた――その事実が何より嬉しかった。

思えば、週末この人に抱かれた。

忘れられないほど熱い記憶が、こうして彼の言葉を聞くたびに蘇る。

真剣に企画を評価してくれる横顔を見ながら、私は胸の奥で小さく呟いた。

――この人の隣に立てるように、もっと成長したい。
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