社長、社内恋愛は禁止のはずですが

第7章 同期というライバル

数日後、企画部に人事の発表があった。

西野部長が他支社へ異動になるという知らせに、社内はざわついた。

「西野部長、寂しくなります。」

岸本さんは、最後まで部長にぴったりと寄り添うように話しかけている。

「岸本も、頑張るのよ。」

西野部長は柔らかく微笑み、最後まで上司としての顔を崩さなかった。

その時、ふと私と目が合った。

西野部長は手招きをし、そっと私を呼び寄せる。

「水城。あなたも、これからもっと頑張りなさいよ。」

その真っ直ぐな瞳に、胸が熱くなる。

思い切って、心の奥にあった疑問を口にした。

「……社長と離れてしまって、いいんですか?」

一瞬、西野部長は目を細めて、何かを思い出すように視線を逸らした。

やがて小さく笑みを浮かべる。
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