社長、社内恋愛は禁止のはずですが

第2章 新規プロジェクト抜擢

しばらくしてから、私は社長に呼ばれた。

「今日、呼んだのは他でもない。」

「はい。」

まさか、ミーティングルームを貸し切って、社長と二人きりで話すことになるなんて。

胸の鼓動が早くなる。けれど、次の言葉は予想もしなかった。

「今持っている企画を、すべて岸本に渡してほしい。」

「えっ……」

頭が真っ白になる。どうして? なんで?

今、私が抱えている案件には、南條から託された新規案件も含まれている。

それを丸ごと、岸本さんに任せろって……。

――やっぱり。やっぱり高峰社長は、岸本さんと特別な関係にあるの?

胸の奥がざわつき、唇をぎゅっと噛み締める。

「どうした?」

社長の低い声に、抑えていた思いがあふれた。

「……受け入れられないです。」

はっきりと言い切った瞬間、静まり返った空間に自分の声だけが響いた。

社長の視線が鋭くなり、心臓がまた大きく跳ねる。

だけど引くことはできなかった。
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