いきなりママになりました
ホワイトクリスマスの煌めき
ルナリアのオフィスで、莉乃はデスクで店舗のレイアウト案をチェックしながらふと窓の外に目をやった。
空には分厚い雲が広がり、溜め込んだ水分を今にも吐き出しそうだ。
青葉が見つけてくれた物件の契約は順調に進み、ルナリア初の実店舗のオープンが現実味を帯びてきていた。あの夜の山城との一件は、遠い悪夢のように感じられる瞬間もあったが、莉乃の胸は今、希望でいっぱいだ。
内装はインテリアデザイナーの由佳に全面的にバックアップをお願いし、莉乃が頭の中で描く店が形になりつつある。
ふとオフィスのドアがノックされ、航希がいつもの軽い足取りで入ってきた。
「姉貴、青葉さんから連絡がきたよ。山城の話、ついにケリがつきそうだってさ」
航希の声にはどこか得意げな響きがあった。彼はデスクの端に腰掛け、スマートフォンをいじりながら続けた。
「いやー、あの野郎、青葉さんに完璧にやられたな。マジでスカッとする」