皇帝になった幼馴染みの溺愛が止まりません

第4章 身分違い

台所を抜けて庭に戻ると、そこにはいつものようにティドが待っていた。

「アンヌ。遅かったな。」

声を聞いた途端、胸の奥がきゅっと痛む。

「……ああ、ティド」

寂しい笑みを浮かべると、彼はすぐに何かを察したのだろう。

腕を掴み、人目のない場所へと私を引き連れていった。

「何があった? まさか……妾の話を無理に押し付けられたんじゃないだろうな。」

首を横に振ると、ティドの眉がさらに険しくなる。

「じゃあ、何なんだ。」

息を吸い込み、思い切って口にした。

「……ヴィックに、プロポーズされたの。」

「……っ!」

ティドの手がぱっと離れ、力なく垂れ下がった。

視線を落とし、唇を固く結んだまま動かない。

「それで……何て返事をしたんだ?」

低く絞り出すような声。

その背中に、彼の痛みがにじみ出ていた。

胸が締めつけられ、私は返事をするのが怖くなった。
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