皇帝になった幼馴染みの溺愛が止まりません

第7章 反対

その夜。

華やかなパーティーの幕が下りると同時に、控えの間でイーヴが声を荒げた。

「なぜご自分で勝手に決められるのですか!」

「僕は皇帝だ。自分の妃を選ぶのに、誰の許可が必要だというんだ。」

「私は、アンヌ嬢の今後を見極めるべきだと申し上げたはずです!」

二人の視線が鋭くぶつかる。

私の胸は痛み、思わず声を震わせた。

「あの……私、ヴィックと一緒にいられるのなら……妾でも……」

「よくない!」

ヴィックの叫びが、私の言葉をかき消す。

「アンヌを妾になどしない。彼女は僕の妃だ!」

その断言に心が熱くなる。

けれどイーヴは一歩も引かず、なおも睨みつけてきた。

「……解りました。皇帝閣下がそう仰るのならば、こちらにも考えがあります」

低く押し殺した声に、背筋が凍りついた。

まるで──新たな試練の幕開けを告げる鐘の音のように。
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