皇帝になった幼馴染みの溺愛が止まりません

第8章 結婚

ヴィックによって救い出された私は、自室のベッドに寝かされ、養生することになった。

「ああ……こんなにやせ細って。」

ベッド脇に座るヴィックが、私の手を痛いほど強く握りしめる。

「僕がもっと早く気づいていれば……」

「ヴィックのせいじゃないわ。」

そう答えながらも、胸が痛む。

「一体、誰なんだ。アンヌを牢屋に閉じ込めたのは……教えてくれ。」

──言えない。

唇が震えた。イーヴさんだなんて、今は絶対に言えなかった。

だって彼は、幼い頃からヴィックの側に仕えてきた忠臣。

真実を知れば、きっとヴィックは深く傷つく。

「アンヌ……僕と一緒にいて、辛くはないか?」

真剣な瞳に、息が詰まる。

「僕と一緒にいなければ、こんなこともされなかった。」

確かにそうかもしれない。

けれど──だからといって、私はこの人の傍を離れたくはなかった。
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