Secret love.
Episode8
社員旅行から特に何も無く穏やかな日々だけが過ぎて行った。お互いの両親にも挨拶に行き、結婚の準備も少しずつ進んでいた。

結婚式もやる方向では話が進んでいて、入籍後に少し期間を離して挙げるつもりなのだけど、今から少し浮かれてしまう。

今は会社の外で実季とランチを取っていて、幸せオーラが漂う私とは対照的に重たく溜息を零して疲れ切っている実季がいた。


「彼氏出来て幸せそうな顔じゃないね?実季さん。」

「揶揄わないでよ。夫婦そろって…、あ…、まだ夫婦じゃなかった。」


自分だって気が滅入っている割に元気に揶揄ってきているじゃないか。とツッコみたいのを我慢して「まあ…、何でそうなったのか疑問ではあるよね…。」と言葉を漏らした。

言葉の通り実季には恋人が出来た。ただし、仮初の。私も噂で聞いていただけなので何か裏がありそうな気はしたけれど、実際裏はあったらしい。

その理由はまだ聞いていなくて、実季が説明するのを待っているのだけど、どう話そうか悩んでいる様に見えた。

このまま無理に聞き出すのも良くないとは思い、急かさずに話し出すようなら聞こうとそう言うスタンスで待ち構えている。

そして思い悩んでいるのか、お昼を頼んだのに全く手を付けていない。
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