Secret love.
Episode9
月日が過ぎて冬が来た。寒さでベッドから出るのが辛く、いつも以上に起きるのが厳しい。

上布団を口元まで被り丸まっていると、上布団の上から優しくトントンとされて起こされている。

相手は言うまでも無く及川くんだとはわかるのだけど、今日は起きたくない。ほんの少しの抵抗で「ん~…」と声を漏らし、頭の上まで布団を被る。


「無視?良い度胸してんじゃん。」

「今日は休みだよ…。」

「平日だよ。早く仕事行く準備しなきゃ。」

「休む…、有給使う~!」

「何馬鹿言ってんだよ。」


強引に上布団を剥がされ、急に冷気に身体が晒されて丸まりながら震える。


「リビングはあったかいから早く動いて移動したら?」

「及川くん、連れてって。」


そう言って腕を広げると、及川くんは呆れた様に笑って私の身体を抱き上げる。及川くんの首の後ろに腕を回すと、私の額に軽く口付けて運んでくれる。

毎日こんなに甘やかしてくれるわけではないけれど、時々はとびきり甘くしてくれる。


「今日、経理課飲み会だっけ?」

「そうだよ。早めに帰るつもりだけど…、遅くなる可能性もあるから先に寝ててね。」

「明日休みだし多分起きてると思うけどな。」


そう話をしているとリビングについて下ろされる。いつも少し早起きして暖房を入れていてくれるから部屋が暖かい。
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