Secret love.
Episode12
会社では交際していたことが周知され、1ヵ月も経てば噂も何も言われなくなっていた。
そもそも私達の関係が仲良過ぎたのもあってやっぱりと思っていた人も多数いた様だし、秘密にしている時と変わらない位にはいつもの日常を送れている。
4月の5年目の記念日に約束通り籍を入れて、今私の左手の薬指には婚約指輪では無く、お揃いのデザインの結婚指輪がはめられている。
オーダーメイドのこだわりを持って選んだ指輪は間違いなく気に入っているし暇あれば眺めてしまう。
「…全然話が入って来ない程、浮かれてるみたいね?及川さん?」
「え?」
ランチ中実季が私の様子に苦笑いしていた。実際ボーっとして全く話が入ってきていなかった。
「何か、こうして見てないと実感が湧かなくて。同棲期間も長いから新婚感があまりないというか…。」
「そうよね。それにしても交際5年か…。出会ってからは11年くらい経つってこと?」
「大学からだからそう。変な感じだよね。」
「やだ…、何か感慨深い。あんなに喧嘩ばっかりして色々あったのも知ってるから…。」
「私の周りお母さん多い…。」
「ん?どういうこと?」
及川くんと言い、実季と言い、私を子供だと思っている節がありそうだ。